Bambu Lab H2Sは買い?H2Dとの違いと向いている人を解説
Bambu Lab H2Sの造形サイズは340×320×340mmで、デュアルノズルのH2Dの両ノズル時(300×320×320mm)より一回り広く取れます。
外形は492×514×626mm・重量30kgとH2Dと共通なので、「H2Dの下位版」と読むと判断を間違えます。
ノズル1本に絞って造形範囲を広げたのがH2Sで、2素材同時出しを捨てた代わりに何を得たのかが選ぶときの分かれ目です。
本記事では、H2Sの造形サイズと対応素材の読み方・H2Dとの違い・設置に必要な寸法と電源を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
H2Sの340×320×340mmは「シングルノズルだから出せる数字」
公式仕様に記載された最大造形体積は340×320×340mmです。
これはX・Y・Zの各軸方向に動ける最大の範囲で、この数字を1mmでも超える立体は一体では作れません。
実際には縁のそばは反りやすいため、設計上は各辺を数mm内側に収める前提で考えてください。
H2Dがデュアルノズルで両方を使うと300×320×320mmまで下がるのは、待機側のノズルが端で場所を取るためです。
H2Sはノズルが1本なので、X方向に40mm、Z方向に20mm余計に使えます。
340mm角という数字は、ヘルメットの外装やフルフェイスサイズのマスク、A4の書類ボックスのような「分割したくない一体物」がそのまま入る大きさです。
造形範囲と設置寸法を混同しないでください。
H2Sは密閉型なので外形は492×514×626mmと決まっており、ベッドが前後に飛び出すタイプとは違って本体の投影面積がそのまま必要面積になります。
ただし前面ドアの開閉と、天面からの造形物の取り出しには別に空間が要ります。
対応素材はPPS・PPAまで。ノズル350℃とチャンバー加熱65℃がその根拠
H2Sが公式に対応を記載している印刷素材は、PLA・PETG・TPU・PVA・BVOH・ABS・ASA・PC・PA・PET・PPS・PPAと、各種のカーボン繊維/ガラス繊維強化品です。家庭用でPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPPA(高耐熱ナイロン)まで並ぶ機種は多くありません。
この幅を支えているのが3つの数字です。
ノズル最高温度350℃は高融点の樹脂を溶かすため、ベッド最高120℃は1層目を板に貼り付けておくため、そしてアクティブチャンバー加熱の最高65℃は造形中の庫内温度を保って反りと層割れを抑えるためにあります。
オープンフレームのA1シリーズでABS・ASA・PC・PAが公式に「推奨ではありません」とされているのは、この庫内温度を保てないからです。
素材の幅を機種選びの軸に置くなら、密閉とチャンバー加熱の有無がそのまま分岐になります。
付属ノズルが0.4mmの焼入れスチールである点も素材と直結します。
真鍮ノズルは繊維強化フィラメントで内径が削れますが、焼入れスチールならCF・GF入りを前提にできます。
A1シリーズやP1Sで繊維強化品が不向きとされる理由のひとつがノズル材質にあるので、ここは仕様表の「ノズル」欄まで見てください。
H2SとH2Dの違いは、ノズル本数と造形範囲の2点に集約される
| 項目 | H2S | H2D |
|---|---|---|
| ノズル | シングル(0.4mm 焼入れスチール) | デュアル |
| 最大造形体積 | 340×320×340mm | 単325×320×325mm/両300×320×320mm |
| ノズル最高温度 | 350℃ | 350℃ |
| ベッド最高温度 | 120℃ | 120℃ |
| 最高速度/加速度 | 1000mm/s/20000mm/s² | 1000mm/s/20000mm/s² |
| 最大流量 | 40mm³/s(高流量ホットエンドで65mm³/s) | 40mm³/s |
| 外形/重量 | 492×514×626mm/30kg | 492×514×626mm/31kg |
速度・加速度・ベッド温度・外形はほぼ同じで、違うのはノズル本数と、そこから決まる造形範囲だけです。
デュアルノズルの価値は、水に溶けるPVAやBVOHをサポート材として別ノズルから出せる点にあります。
複雑な内部空洞を持つ造形で、サポートを水に浸けて溶かすという工程が使えるかどうかの差です。
逆にその工程を使わないなら、H2Sの340mm角のほうが素直に広く使えます。
シリーズ内の立ち位置をまとめて見たい場合はBambu Lab全機種の違いを比較で解説しています。
流量40mm³/sと65mm³/sは何が変わるのか
最大流量は1秒あたりにノズルから押し出せる樹脂の体積で、単位はmm³/sです。
速度のmm/sとは別物で、いくらヘッドが1000mm/sで動けても、流量が足りなければ太い線を高速では引けません。
H2Sの標準は40mm³/sで、オプションの高流量ホットエンドに替えると65mm³/sになります。
この差が意味を持つのは、0.6mmや0.8mmの太いノズルで厚い層を積み、大きな造形物を短時間で仕上げる使い方です。
340mm角いっぱいの箱物を作るなら、同じ形状でも流量の上限が仕上がりまでの時間を左右します。
反対に0.4mmノズルで小物を細かく作るのが中心なら、40mm³/sで頭打ちになる場面はほとんどありません。
標準構成で始めて、大物を量産する必要が出た時点で足すという順番で問題ありません。
設置は492×514×626mm・30kgと最大1170Wを基準に考える
設置前に確かめる数字は3つです。外形492×514×626mm、重量30kg、消費電力は最大1170W(110V時)になります。
奥行き514mmは一般的な学習机やカラーボックスの天板より深く、背面が壁から数cm浮く置き方になりがちです。
排気と配線のぶん、奥に5cm以上の余裕を見てください。
高さ626mmは、上の棚板まで70cmない場所では造形物の取り出しに手が入りません。
重量30kgは、キャスター付きのワゴンや組み立て式のメタルラックでは耐荷重を確認する水準です。
高速で動くヘッドの反動を受けるため、天板がたわむ台に載せると振動が造形の表面に出ます。
電源は最大1170Wなので、電子レンジやドライヤーと同じ回路のコンセントを分け合うとブレーカーが落ちます。
定常時はこれより低く推移しますが、ベッドとチャンバーを同時に加熱する立ち上がりでいちばん電力を使うという前提で、専用のコンセントを確保してください。
フィルター構成とカメラ仕様は、置く部屋の条件で読み替える
H2SのフィルターはG3プレフィルタ・HEPA H12・粒状ヤシ殻活性炭・VOCフィルターの4層構成です。
ABSやASAのように高温で造形する印刷素材では微粒子やにおいが出るため、密閉筐体とフィルターをセットで備えているかが居室に置けるかどうかを決めます。
それでも長時間の印刷では換気をおすすめします。
寝室や子ども部屋での連続運転は避け、完全な留守中や就寝中に長時間動かすのは控えてください。
フィルターは消耗品なので、交換前提のランニングコストとして見込んでおきます。
カメラはライブビューが1920×1080、ツールヘッド側が1600×1200です。
別室からの進行確認とタイムラプス撮影に足りる解像度で、5インチ・1280×720のタッチスクリーンと合わせて操作系も上位の構成になっています。
レーザー版を選ぶと10Wのレーザーモジュールが付き、310×260mmの範囲で彫刻、カットモジュールにも対応します。
レーザー加工は換気と防護が別途必要になるため、3Dプリントだけが目的なら標準版で足ります。
仕様はどこで確認するか。表記のずれが起きる理由
造形サイズと素材の対応は、メーカー公式サイトの製品ページにある技術仕様(tech specs)で確認するのが基本です。
販売店や通販サイトの商品説明は、旧ロットの数値や海外版の電圧がそのまま残っていることがあります。
とくに消費電力は、110V基準と220V基準で数字がまったく違って見えるので、日本で使うなら110V側の表記を読んでください。
素材の対応表記にもずれが出ます。
「対応」と書かれていても、ノズル材質やチャンバー加熱の有無によって実際にきれいに積めるかは変わり、各社が「推奨」「対応」「非推奨」をどこで線引きするかも統一されていません。
H2Sのように公式が対応素材を列挙している機種では、その一覧に載っていない印刷素材を使うと保証の対象外になることがあります。
フィラメント側の推奨温度と機種側の上限を突き合わせる読み方は、Bambu Labのフィラメントで解説しています。
多色で使う場合は、本体の仕様とは別にAMS(自動フィラメント切替ユニット)側の対応素材を確認してください。
H2Sは本体給電でAMS 2 Proを1台つなげますが、AMS側にはTPEや湿ったPVAなど非対応の素材があります。
乾燥機能と対応リストはAMS 2 Proとは?乾燥機能・対応機種とAMS liteとの違いで解説しています。
よくある質問
H2SとH2D、デュアルノズルが要らないならH2Sで損はないですか
造形範囲はH2Sのほうが340×320×340mmと広く、ノズル温度350℃・ベッド120℃・速度1000mm/sといった主要な数値はH2Dと同じです。
溶けるサポート材を別ノズルから出す使い方をしないなら、仕様上で劣る点はほとんどありません。
2色の同時出しや異種素材の組み合わせを将来やる予定があるかどうかで決めてください。
340mm角の造形物を作ると、どのくらい時間がかかりますか
造形時間は形状・層厚・ノズル径・素材・充填率で大きく変わるため、サイズだけでは出せません。
中空の箱物と中身の詰まった塊では、同じ340mm角でも桁が変わります。
スライサーソフトに実際のデータを読み込ませると見積もり時間が表示されるので、購入前ならモデルを用意して確認するのが確実な方法です。
H2Sで繊維強化フィラメントを使うのにノズル交換は要りますか
付属のノズルが0.4mmの焼入れスチールなので、CF・GF入りを使うために交換する必要はありません。
真鍮ノズルの機種では繊維で内径が削れて押出量が狂いますが、焼入れスチールはその摩耗に耐える材質です。
繊維入りは乾燥管理と詰まりやすさが別の課題になるので、素材ごとのメーカー推奨値を確認してください。
まとめ
H2Sは、340×320×340mmという造形範囲とPPS・PPAまでの対応素材を、ノズル1本に絞ることで成立させた密閉型の機種です。
H2Dとは速度も温度も外形も共通で、違いはデュアルノズルによる溶けるサポート材が使えるかどうかと、その代償としての造形範囲の狭さに集約されます。
選ぶときに最初に決まるのは、作りたい物が340mm角に入るかと、ABSやPPSのような高温素材が必要かの2点です。
設置側では、外形492×514×626mm・30kg・最大1170Wの3つが現実の制約になります。
奥行きと高さ、台の耐荷重、コンセントの回路を先に測っておくと、届いてから置き場所に困りません。
ぜひ本記事の仕様表とH2Dとの比較を参考に、ご自身の作りたい物の寸法から機種を絞ってみてください。



