光造形とFDMの違いを比較|家庭用3Dプリンターはどっちを選ぶ?
光造形(レーザーまたは液晶で液体樹脂を硬化させる方式)で検索してたどり着いた人が最初に突き当たるのは、造形サイズの小ささと後処理の手間です。
積層痕がほとんど出ない代わりに、洗浄用のアルコールと二次硬化のUVライトが必須になり、未硬化レジンは素手で触れません。
同じ「家庭用3Dプリンター」の棚に並んでいても、FDM(フィラメントを溶かして積む方式)とは日々の作業がまるで別物です。
本記事では、光造形とFDMで実際に差が出る軸・タイプ別に向いている人と向かない人・設置に必要なスペース・消耗品の考え方を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
光造形とFDM、最初に効くのは「作りたい物の大きさ」と「後処理をやれる場所」
方式選びで迷ったとき、仕上がりの美しさから比べ始めると答えが出ません。
先に確認してほしいのは2つです。
作りたい物が手のひらに載るサイズで収まるか。
そして、洗浄と二次硬化をやる場所を家の中に確保できるか。
光造形は液面の面積がそのまま造形範囲になるため、家庭向けのモデルでは造形エリアが小ぶりになります。
フィギュアや模型パーツ、歯車のような小さく精密な部品なら得意分野です。
一方でFDMは、Bambu Lab A1 miniが180×180×180mm、A1やP1Sが256×256×256mm、H2Dになると単ノズルで325×320×325mmという造形サイズを確保しています。
収納ボックスの仕切りや家電の交換パーツのような、生活で使う大きさの物を一体で作るならFDM側です。
後処理の話はもっと現実的です。
光造形は印刷が終わった時点では造形物の表面に未硬化のレジンが残っていて、アルコールなどでの洗浄と、UVでの二次硬化を経てはじめて完成します。
この作業には、手袋・洗浄容器・換気できる場所が要ります。
キッチンや洗面台を長時間占有できる家かどうかが、そのまま選択を決めます。
3Dプリンターで作れるものの実例で挙げているような日用品寄りの用途が中心なら、方式の答えは早く出ます。
光造形とFDMの構造差がそのまま作業差になる
光造形(SLA・LCD・DLP)
タンクに満たした液体樹脂に光を当て、断面ごとに硬化させて引き上げていく方式です。
1層をまとめて面で露光するタイプ(LCD・DLP)は、造形物の数が増えても時間があまり変わりません。
積層ピッチが細かく、ノズルの太さという制約がないため、細部の再現が強い。
そのかわり、扱うのは液体の樹脂と溶剤で、消耗品としてタンク底のフィルムも定期的に交換します。
FDM(熱溶解積層)
フィラメントを溶かしてノズルから押し出し、線を積み重ねます。
材料が固形なので、印刷が終われば取り外してそのまま使えるのが最大の実務的な強み。
素材の選択肢も広く、Bambu Lab A1シリーズはPLA・PETG・TPU・PVAが推奨素材で、密閉型のP1SはこれにABS・ASAが加わります。
P2SやH2Dのクラスになると、PA・PCやカーボン繊維強化系まで公式にカバーします。
柔らかいTPUで作れるのもFDM側の特徴です。
密閉型かオープンフレームか(FDM内での分岐)
FDMを選ぶ場合、次の分岐は筐体です。
A1シリーズはオープンフレームで、庫内温度を保てないためABS・ASA・PC・PAは公式に推奨されていません。
ここを「使える」と読み替えて買うと、反りや層間剥離で行き詰まります。
ABSのような収縮の大きい素材を使う予定があるなら、P1S以上の密閉型が前提になります。
機種ごとの差はBambu Lab全機種の違いを比較で解説しています。
光造形が向く人、FDMが向く人
| タイプ | 構造上の特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 光造形(LCD・DLP) | 液体樹脂を光で硬化。積層痕が目立ちにくく細部再現に強い。洗浄と二次硬化が必須 | フィギュア・模型・小型の精密パーツが主目的で、換気と洗浄の場所を確保できる人 |
| FDM・オープンフレーム | A1 miniで180mm角、A1で256mm角。推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVA。A1 miniはサイレントモード48dB以下 | 日用品や実用パーツを作りたい人。印刷後すぐ使える手軽さを優先する人 |
| FDM・密閉型 | P1Sは256mm角+活性炭フィルターでABS・ASAに対応。P2Sは110℃ベッド・焼入スチールノズルでCF系まで | 耐熱や強度が必要な部品を作る人。夜間や生活空間での運用でにおいを抑えたい人 |
| FDM・大型/デュアルノズル | H2Dは325×320×325mm・チャンバー加熱65℃・HEPA+活性炭。31kg | 一体で大きい物を作る人。サポート材を別素材で使い分けたい人 |
逆に向かない条件をはっきり書きます。
光造形が向かないのは、作業場所を毎回片付けなければならない住環境の人、小さな子どもやペットが機械のそばに来る家、そして「印刷が終わったらすぐ使いたい」用途が中心の人です。
FDMが向かないのは、髪の毛のような細い造形や、塗装前提で表面をなめらかに仕上げたい模型用途を主目的にしている人。
この場合はFDMで積層痕を消す研磨作業のほうが手間になります。
光造形で見落とされやすい、レジンの取り扱いという条件
仕様表を見比べても出てこない差が、材料そのものの扱いです。
未硬化のレジンは皮膚に付けないよう手袋を使い、換気しながら作業するのが基本です。
使い終わった洗浄液や失敗した造形物も、そのまま流しに捨てるわけにはいきません。
自治体の案内に従った処分が必要になります。
においについても、レジンは種類によって差がありますが、FDMのPLAより気になるという声は多く見られます。
においが少ないとされる素材でも、長時間の印刷では換気を心がけてください。
体調に不安が出た場合は自己判断で対処せず、医療機関に相談してください。
ここを負担に感じるかどうかは、家の間取りと生活リズムでほぼ決まります。
逆に言えば、専用の作業台と換気を確保できる人にとっては、光造形の仕上がりは他の方式で代替しにくい魅力があります。
判断材料としては、造形品質より先にこの一点を検討してください。
3Dプリンターの設置は本体寸法だけで決まらない
置き場所は、カタログの本体寸法をメジャーで測っただけでは決まりません。
FDMのベッドスリンガー型(ベッドが前後に動くタイプ)は、印刷中にプレートが本体の前後へはみ出します。
A1の本体寸法は465×410×430mmですが、この数値の前後にベッドの可動ぶんを足した奥行きが必要です。
多色印刷ユニットを付けるなら、その分も加算します。
AMS liteは397×208×342mm・1.6kgで、本体の横または上に置く構成になります。
密閉型のP1Sについては、公式が推奨設置スペースとして500×500×950mmを示しています。
本体は389×389×458mmですから、上方向にも余裕を求めていることが分かります。
フィラメントの交換や上部からのアクセスを考えれば妥当な数字です。
光造形の場合、本体そのものは小さめでも、洗浄容器・二次硬化用のUVライト・アルコールの保管場所がセットで必要です。
プリンターの隣に、A4サイズ2枚ぶんくらいの作業スペースを別に見積もっておくと現実に近くなります。
卓上に置く前提の絞り込みは小型3Dプリンターの選び方で解説しています。
消耗品は「材料以外に何が減るか」で比べる
ランニングコストを材料代だけで比べると、光造形とFDMの差を読み違えます。
減っていく物の種類が違うためです。
FDMで交換するのは、フィラメント・ノズル・ビルドプレートの3点です。
ノズルはA1シリーズもP1Sも0.4mmのステンレスが標準で、0.2mm・0.6mm・0.8mmへ交換できます。
カーボン繊維強化系の素材はステンレスノズルを削るため、P1Sの公式FAQでも不向きとされています。
使いたいならP2Sの焼入スチールのような硬いノズルが前提です。
プレートはテクスチャーPEIやスムースPEIといった種類があり、傷んだら貼り替えではなく交換になります。
光造形で減るのは、レジン・洗浄用アルコール・タンク底のフィルム、そして光源部の寿命です。
フィルムは印刷を重ねると白濁や傷が出て、放置すると造形失敗や樹脂漏れにつながります。
つまり材料代とは別に、定期交換部品が確実に発生します。
この違いを踏まえると、消耗品の点数が少なく管理が単純なのはFDM側です。
本体以外に掛かる費用の全体像は3Dプリンターの値段の相場で解説しています。
方式選びで失敗しやすいパターン
いちばん多いミスマッチは、仕上がりの写真だけを見て光造形を選び、後処理が続かなくなるケースです。
回避条件は単純で、購入前に洗浄と二次硬化をどこでやるか決めておくこと。
決められないなら、その時点でFDMに寄せたほうが後悔が少なくなります。
FDM側でも似た形の失敗があります。
A1シリーズを買ってからABSを使いたくなるパターン。
前述のとおりA1シリーズはABS・ASA・PC・PAが公式に推奨されておらず、後から素材を増やせません。
素材の上限は機種選びの時点で決まると考えてください。
素材ごとの性質はフィラメント種類一覧の早見表で解説しています。
もう1つ、多色印刷の落とし穴があります。
AMS liteはTPUに非対応です。
柔らかい素材を使う予定があるなら、外部スプールから直接送り込む運用になると理解しておく。
この手の「対応素材の穴」は、購入後に気づくと打つ手がありません。
家庭で使う前提の絞り込み全体は家庭用3Dプリンターのおすすめと選び方で解説しています。
よくある質問
光造形とFDM、初心者にはどちらが扱いやすいですか
作業工程の少なさで言えばFDMです。
印刷が終わればプレートから外してそのまま使えます。
光造形は洗浄と二次硬化という工程が毎回加わり、手袋や換気の準備も必要です。
ただし細かい造形の美しさを最優先するなら、手間を受け入れて光造形を選ぶ判断もあります。
光造形は子どもと一緒に使えますか
未硬化のレジンや洗浄用のアルコールを扱うため、子どもが手を出せる場所での運用はおすすめできません。
一緒に使う前提なら、材料が固形で扱いが単純なFDMのほうが条件を満たしやすいです。
詳しい条件は子どもと使う3Dプリンターの選び方で解説しています。
光造形なら塗装なしでもきれいに仕上がりますか
積層痕は目立ちにくくなりますが、サポート材を切り離した跡は残ります。
仕上げの研磨や塗装が不要になるとは考えないでください。
仕上がりは機種・レジンの種類・露光設定・室温で変わります。
安いモデルから始めても大丈夫ですか
方式ごとに「これができないと使い物にならない」という下限があります。
光造形なら後処理の道具が別に必要になる点、FDMなら造形サイズと対応素材の上限が固定される点です。
どこまで妥協できるかは安い3Dプリンターはどこまで使えるかで解説しています。
光造形とFDMを両方持つ意味はありますか
用途が明確に分かれているなら意味はあります。
模型やフィギュアは光造形、生活用の実用パーツはFDM、という使い分けです。
ただし設置スペースと消耗品の管理が2系列になるため、まずは主目的の側から1台に絞るほうが現実的です。
まとめ
光造形とFDMの選択は、仕上がりの比較ではなく、作りたい物の大きさと後処理をやれる場所で決まります。
手のひらサイズの精密な造形が主目的で、洗浄と二次硬化の場所を確保できるなら光造形。
生活で使う大きさの実用パーツが中心で、印刷後すぐ使いたいならFDMです。
FDMを選ぶ場合は、A1シリーズのオープンフレームで足りるのか、ABSまで扱える密閉型が必要なのかを購入前に決めておいてください。
対応素材の上限は後から広げられません。
ぜひ本記事のタイプ別比較表と設置スペースの考え方を参考に、自分の住環境に合う方式から絞り込んでみてください。



