Bambu Lab P2Sは買い?P1Sからの進化と買い替えの判断を解説
Bambu Lab P2Sの仕様表で最初に見るべき数字は、造形サイズ256×256×256mmと、ノズル最高300℃・ベッド最高110℃の温度、そして付属ノズルが「焼入スチール0.4mm」であることです。
この3点が、P2Sで何を作れるかをほぼ決めています。
とくに焼入スチールという材質表記は見落としやすい一行で、ここが繊維入りフィラメントを使えるかどうかの分かれ目になります。
同じ256mm角の造形サイズを持つ機種はBambu Labの中に複数あるため、サイズだけを見比べると違いが分かりません。
本記事では、P2Sの仕様表の読み方・素材対応の段階・自分の用途からの決め方・設置スペースの確認方法を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
P2Sの仕様表が表しているもの|造形サイズ・温度・ノズル材質
造形サイズの256×256×256mmは、X・Y・Zの各方向に動ける最大寸法です。
単位はmmで、これは「一体で作れる物の外寸の上限」を示します。
実際にはサポート材やブリム(土台の縁)が外側に広がるため、ぎりぎりの寸法で設計すると入らないことがあります。
温度の表記は2種類あります。
ノズル最高300℃は溶かせる素材の上限を、ベッド最高110℃は1層目を貼り付ける板の温度を示します。
ABSやASAのような反りやすい素材は、ベッドを高温にして密閉した箱の中で印刷するのが前提。
P2Sは密閉型(プラスチックとガラス)なので、この条件を満たします。
速度の600mm/sと加速度20000mm/s²は、あくまで機械の上限値です。
実際の造形時間を左右するのは、公式条件で40mm³/sとされる最大押出量(フロー)のほう。
単位がmm/s(移動速度)とmm³/s(1秒あたりに出せる樹脂の体積)で違うので、この2つを混同しないでください。
速度だけ上げても樹脂が出なければ形になりません。
付属ノズルの「焼入スチール」が意味すること
P2Sに付属する0.4mmノズルは焼入スチール製です。
カーボンやガラス繊維を混ぜたフィラメントは研磨性が高く、真鍮やステンレスのノズルだと内径が削れて広がっていきます。
焼入スチールはこの摩耗に耐える材質で、公式仕様でもPLA-CF・PETG-CF・PA6-CF・PAHT-CF・PET-CFといった強化素材が対応素材に並んでいます。
ノズル径の0.4mmは穴の直径で、フィラメント径の1.75mmとは別の数字です。
P2Sが対応する素材の段階と、それぞれが必要になる人
素材対応は「機械の温度上限」と「箱の密閉性」と「ノズル材質」の3つで段階が決まります。
P2Sはその3つすべてを満たしている構成です。
| 素材のタイプ | 必要な条件 | この段階が必要な人 |
|---|---|---|
| PLA・PETG・TPU・PVA | ノズル300℃・ベッド80〜100℃程度 | 小物・模型・治具が中心。開放型でも足りる |
| ABS・ASA・PET | 密閉筐体+ベッド100℃以上 | 屋外や車内で使う部品、耐候性が要る人 |
| PA(ナイロン)・PC | 高い庫内保温と乾燥管理 | 強度と靭性を両立させたい人 |
| PLA-CF・PA6-CF等の繊維強化 | 焼入スチール等の耐摩耗ノズル | 剛性の高い実用部品を作る人 |
比較の基準になるのは同じ256mm角のA1とP1Sです。
A1は開放型で、公式にABS・ASA・PC・PAが「推奨ではありません」とされています。
P1SはABS・ASAまで対応しますが、付属ノズルがステンレススチールのため、公式FAQで繊維強化系には不向きとされています。
P2Sはその両方の制限を外した位置にあります。
素材の性格そのものを先に押さえたい場合は、フィラメント種類の早見表で耐熱と強度の関係を解説しています。
用途からP2Sを選ぶか決める手順
迷ったら、次の順で自分の条件を当ててください。
上から順に、ひとつでも該当したらP2S以上が候補になります。
- 作る物に屋外・車内・水回りのような熱や紫外線がかかる場所がある → ABS/ASA対応が必要
- ネジ穴や軸受けのように力がかかる実用部品を作る → PAやPC、繊維強化まで見る
- 作る物の最大寸法が180mmを超える → A1 miniは外れる
- 樹脂のにおいや微粒子をできるだけ室内に出したくない → 密閉+フィルター構成が要る
逆に、該当がひとつもなくPLAとPETGだけで完結するなら、P2Sの温度性能とノズル材質は使われないまま余ります。
その場合は開放型のA1系のほうが軽く、設置も楽です。
判断が分かれるのはP1Sとの間で、ここは対応素材とカメラ・画面まわりの世代差の話になります。
P1SとP2Sの違いで項目ごとに解説しています。
作る物の寸法から機種を絞る
造形サイズは、作りたい物の実寸に各方向10〜20mmほど余裕を足して考えます。
手のひらサイズ中心ならA1 miniの180mm角で足りますが、ヘルメットの一部やボックス類のような大物を一体で作るなら256mm角でも足りないことがあります。
その先はH2Dの単ノズル325×320×325mmという選択肢になり、本体も31kgまで増えます。
サイズ側から考えるならBambu Lab全機種の造形サイズ比較で一覧にして解説しています。
同じ「256mm」でも機種ごとに中身がずれる理由
造形サイズはA1・P1S・P2Sで256×256×256mmと同じ表記です。
それでも作れる物が違うのは、造形サイズが機械の可動域だけを表す数字で、素材対応や庫内環境を含まないからです。
仕様表を横に並べて比べるときは、造形サイズの行だけで判断しないでください。
もうひとつずれるのが消費電力の表記です。
P2Sは公式に最大1000W@110V、PLA定常時200Wと書かれています。
最大値は主にベッドを加熱する立ち上がりの数字で、印刷中ずっと1000Wを使うわけではありません。
A1のように「1300W@220V/350W@110V」と電圧ごとに併記される機種もあるため、日本の家庭で見るべきは110V側の数値です。
電源タップの容量を考えるときは、この定常値と最大値の両方を見ておくと安全です。
フィラメント径も混同しやすい表記です。
Bambu Labの機種は1.75mm径が前提で、乾燥機の仕様に出てくる2.85mmや3.0mmは別規格の太いフィラメント向け。
乾燥機を買うときに対応径の欄を見るのはこのためです。
仕様が合わないと起きること|寸法・素材・設置の3方向
造形サイズを超える物は、そもそもスライサー(造形データを機械の動作に変換するソフト)の段階で配置できません。
分割して接着する方法はありますが、継ぎ目が出て強度も落ちます。
設計段階で寸法を確認しておくほうが早いです。
素材が非対応の場合はもっと厄介で、印刷は始まるのに途中で失敗します。
開放型の機種でABSを流すと、収縮で角が浮き上がって剥がれる。
繊維強化材を柔らかいノズルで流し続ければ、内径が広がって精度が落ちていきます。
どちらも「動くけれど正しく形にならない」ため、原因に気づくのが遅れがちです。
設置で失敗するのは、本体寸法だけを測って棚に入れてしまうケース。
P2Sの本体寸法は392×406×478mmですが、これは箱の外形で、上面のフタを開ける動作や背面の配線、フィラメントスプールの張り出しは含みません。
同じ密閉型のP1Sには公式推奨設置スペースとして500×500×950mmという数値があり、本体寸法よりかなり大きく取られています。
密閉型は本体重量も14.9kgあるので、置き場所の耐荷重も問題になります。
棚や机の条件は3Dプリンターの設置台の選び方で解説しています。
P2Sの仕様はどこで確認できるか
いちばん確実なのは、メーカー公式サイトの製品ページにある技術仕様(Specs)の一覧です。
造形サイズ・ノズル最高温度・ベッド最高温度・対応素材・本体寸法・重量・消費電力が同じ表に並んでいるため、他機種と行ごとに突き合わせられます。
付属ノズルの材質も、この表の「ノズル」の行に書かれています。
販売店の商品ページを見る場合は、記載が要約されていることに注意してください。
対応素材が「多素材対応」とだけ書かれていたり、繊維強化材の可否が省かれていることがあります。
同じ機種名でもセット内容(AMSの有無など)で構成が変わるので、型番とセット名の両方を確認するのが確実です。
電気関係では、PSE認証が本体とACアダプターで別扱いになる点も押さえておきたいところ。
販売店が独自に取得している場合、並行輸入品には同じ表示が付きません。
国内正規代理店の取扱いかどうかは商品ページの記載で確認できます。
取扱い状況や構成は店舗と時期で変わるため、購入前にその時点のページで見てください。
よくある質問
P2SならABSやカーボン入りフィラメントを何も足さずに使えますか
公式仕様では、対応素材にABS・ASA・PA・PCと各種CF・GF強化材が含まれ、付属ノズルも焼入スチールです。
追加のノズル購入なしで対応範囲に入っている構成です。
ただしPAやPCは吸湿しやすく、乾燥管理をしないと造形が荒れます。
乾燥の温度と時間は素材とメーカーで異なるので、使うフィラメントの推奨値を確認してください。
造形サイズが同じP1Sから乗り換える意味はありますか
PLAとPETGだけで足りているなら、造形サイズは変わらないので恩恵は小さいです。
差が出るのは、P1Sの付属ステンレスノズルでは不向きとされる繊維強化材を使いたい場合と、ベッド110℃やより高いフロー値が要る場合。
カメラの解像度やフレームレート、5インチタッチスクリーンといった操作まわりの違いもあります。
素材の予定から逆算して判断してください。
256mm角では足りない場合、次の選択肢は何になりますか
Bambu Labの中ではH2Dが単ノズルで325×320×325mmまで対応し、ベッドは120℃、ノズルは350℃まで上がります。
ただし本体は492×514×626mm・31kgと大きく、設置場所の条件が一段厳しくなります。
デュアルノズル構成の使い方まで含めて、H2Dが向く人の条件で解説しています。
まとめ
P2Sの仕様表で読み取るべきは、造形サイズ256mm角、ノズル300℃とベッド110℃、そして付属ノズルが焼入スチールであることの3点です。
この組み合わせが、ABS・ASAからPA・PC、繊維強化材までを追加購入なしで扱える範囲を作っています。
逆にPLAとPETGで完結する使い方なら、この性能は余ります。
選ぶ順序は、作る物の最大寸法と使用環境の温度、その2つから必要な素材を決めて、最後に設置スペースを実測する流れです。
本体寸法だけでは収まらないことを忘れないでください。
ぜひ本記事の素材の段階表と用途からの絞り込み手順を参考に、自分の作りたい物に必要な仕様を先に確定させてから機種を決めてください。



