3Dプリンターでスマホケースを作る方法と素材の選び方
スマホケースのデータは機種名で検索すると複数見つかりますが、厚みもカメラ穴の位置も作者ごとに違います。
3Dプリンターで作るなら、印刷素材をTPU(ゴムのように曲がるフィラメント)にするか、PETGのような硬いものにするかを先に決めてください。
Bambu Lab A1 mini・A1の公式推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVAで、TPU自体は印刷できます。
ただしA1シリーズ向けの自動フィラメント切替ユニットAMS liteは、公式にTPU非対応と明記されています。
本記事では、TPUとPETGの選び分け・データ探しから装着までの手順・カメラ穴やボタン位置が合わないときの直し方を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
スマホケースの印刷素材は、曲げて着けるならTPU・硬さ優先ならPETG
スマホケースに使う印刷素材は、着け外しのときに曲げるかどうかで分かれます。
TPUはゴムのようにたわむので、ケースの角を広げて端末をはめ込めます。
PETGは粘りがあって割れにくい一方、ほとんどたわまないため、四隅で抱え込むタイプのモデルだと端末の角に無理な力が掛かります。
PLAはいちばん印刷が簡単ですが、熱に弱く、夏の車内に置くと変形します。
| 素材 | 着け外しの感触 | 弱点 | 向く作り |
|---|---|---|---|
| TPU | 角を広げてはめ込める | 送りが弱く詰まりやすい。AMS lite非対応 | 毎日着け外しする常用ケース |
| PETG | ほぼ曲がらない硬さ | 糸引きが出て内側がざらつきやすい | スタンドやリングが付いた厚手の形 |
| PLA | 曲げると白くなり戻らない | 熱に弱い。角から割れやすい | 色や模様を見るための試作 |
温度面では、A1 miniもA1もノズルが300℃まで、ベッドはA1 miniが80℃・A1が100℃まで上がるので、TPUもPETGも守備範囲に入ります。
TPUで手が止まるのは温度ではなく、柔らかい材料を細いチューブへ送り込む部分です。
柔らかい樹脂を扱うときの注意は、3Dプリンターで作るおもちゃの実例でも解説しています。
スマホケースのデータ探しから装着までの手順
機種名と世代までそろったデータを選ぶ
同じシリーズのスマホでも、世代が変わるとカメラの島の大きさとボタンの高さが変わります。
モデルの説明に「対応機種」が書かれていても、世代の表記が無いものは避けてください。
MakerWorldはモデルごとに作者がライセンスを設定する仕組みで、派生禁止や同一ライセンス継承といった条件はモデルページに表示されます。
配布データの探し方と条件の読み方は、3Dプリンターでキーホルダーを作る方法で解説しています。
スライサーソフトでTPU用のプロファイルに切り替える
スライサーソフト(OrcaSlicerなど、印刷用データへ変換するアプリ)では、材料をPLAのままにせず、TPU用のプロファイルを選びます。
A1 miniの最高速度は500mm/sですが、TPUをその速度で押し出すと材料がエクストルーダー内でたわんで送りが追いつかなくなるため、プロファイル既定の低い速度のまま印刷してください。
付属の0.4mmノズルで足ります。
スプールを直接セットし、冷めてから剥がす
AMS liteはTPUに対応していないので、ユニットを経由させず、外部のスプールホルダーからノズルへ直接送ります。
印刷が終わったら、プレートが完全に冷えてから外してください。
TPUは温かいうちに引き剥がすと伸びたまま戻らず、端末に対してゆるい一枚になります。
テクスチャーPEIプレートなら、冷ましてから軽くしならせるだけで外れます。
寸法が合わないスマホケースで起きること
きついケースは、着け外しのたびに角へ力が集中して、積層の境目から裂けます。
TPUなら伸びて戻りますが、PLAやPETGは一度白くなった部分がそのまま残り、やがて割れます。
反対にゆるいと、ポケットから出し入れしただけで端末だけが抜け落ちます。
穴のずれは機能をそのまま止めます。
フラッシュの縁にケースが掛かると、光が内壁で反射して写真が白っぽくなります。
スピーカー穴がずれれば音がこもり、側面のボタンは枠が厚すぎると押し込めません。
充電端子の開口も、太いケーブルだと奥まで入らずに充電できなくなります。
これを避けるには、全体を印刷する前にカメラ周りの一角だけをスライサーで切り出し、数ミリの厚みで試し刷りしてください。
数分で、島の大きさとケース枠の関係が実物で分かります。はめ合いの寸法を詰める考え方は、3Dプリンターで作るガンプラ支援グッズの実例でも解説しています。
うまくいかないときの原因別の直し方
フィラメントが送れない・途中から壁が薄くなる
TPUで途中から押し出しが細る場合、エクストルーダー内で材料が座屈しています。
速度を落とし、リトラクト(引き戻し)量を短くすると改善します。
AMS liteを通している場合は経路が長く曲がりも多いため、直接給送に切り替えてください。
糸引きとダマで内側がざらつく
PETGで内壁にヒゲ状の糸が残るときは、材料が湿っています。
フィラメント乾燥機で乾かしてから刷り直すと、表面の荒れも一緒に減ります。
内側のざらつきは端末の背面に細かい擦り傷を作るので、仕上げに紙やすりを軽く当てておくと安心して着けられます。
角が反る・1層目が定着しない
スマホケースは底面積が広く、四隅が持ち上がると全体がねじれます。
多いのはプレート表面の皮脂で、中性洗剤で洗ってから印刷するだけで直ります。
それでも剥がれるなら、ベッド温度を素材の推奨範囲内で上げ、ブリム(外周の捨て板)を付けてください。
そろえる道具と、代用が利くもの
必須なのはノギスです。
端末の実寸と、刷り上がったケースの内寸を比べる作業はこれがないと進みません。
仕上げにはニッパーと紙やすりがあれば足り、サポート材の跡は400番前後で均せます。
ノズルは付属の0.4mmで十分で、0.2mmは背面の文字やロゴを細かく出したいとき、0.6mmや0.8mmは速く刷れるかわりに穴の縁が甘くなります。
あると結果が安定するのがフィラメント乾燥機です。
SUNLU FilaDryer S2は1kg巻を1本、最高70℃まで、S4は1kg巻を4本同時に入れられて、庫内湿度が50%を超えると自動で再加熱します。
乾燥温度と時間は素材とメーカーで違うので、必ずフィラメント側の推奨値を確認してください。
まだ買わない場合は、密閉できる保存容器に乾燥剤を入れて保管するだけでも、湿気の吸い込みは遅くできます。
スマホケースを作り替える目安
TPUのケースは、着け外しを繰り返すうちに口元が伸びて、端末を押し込んでも角が浮いてきます。
透明や白は皮脂と紫外線で色が変わるため、見た目で寿命が分かります。
PLAやPETGは角に白い筋が出た時点が替えどきで、そのまま使うと落としたときに枠だけが割れて端末に当たります。
交換の間隔は着け外しの回数しだいなので、日数では決められません。
角のひび・ゆるみ・変色のどれかが出たら刷り直す、という見方のほうが実態に合います。
機種を変えたらデータは流用できないので、新しい機種名で探し直してください。
1巻のフィラメントはケース数枚では使い切らないので、余りの使い道は3Dプリンターで作れるものの実例で解説しています。
よくある質問
スマホケースのデータはどこで探せばいいですか
MakerWorld、Printables、Thingiverseといったモデル共有サイトに機種名で投稿されています。どのサイトもライセンスは作者が設定するので、販売や配布を考えているなら、モデルページの表示を先に確認してください。
AMS liteでTPUのスマホケースを多色印刷できますか
できません。
AMS liteの対応素材にTPUは含まれず、TPEや汎用TPUは公式に非対応と記載されています。
多色にしたい場合は、硬いPETGで作るか、TPUの単色で刷ってから塗り分けを検討してください。
落下の衝撃から端末を守れますか
守れるとは書けない、ではなく、性能は保証されていないと考えてください。
TPUはたわんで力を逃がしますが、厚みも角の形もモデルごとに違い、市販ケースのような落下試験は行われていません。
高価な端末では市販品と使い分けるのが現実的です。
A1 miniの造形サイズでもスマホケースは入りますか
A1 miniの最大造形体積は180×180×180mmで、プレートに寝かせて置けば多くの端末が収まります。
ただし大画面のスマホは長辺が180mmに近づくため、手持ちの端末を測ってから判断してください。
収まらないなら、256×256×256mmのA1が候補になります。
まとめ
スマホケースづくりで結果を左右するのは、印刷素材の選択と実寸の確認です。
毎日着け外しするならTPU、硬い形で厚みを持たせるならPETGを選び、PLAは試作に留めておくと熱による変形を避けられます。
そしてどの素材でも、カメラ周りの一角を試し刷りしてから全体を刷るだけで、作り直しの回数は目に見えて減ります。
ぜひ本記事の素材比較表と手順を参考に、手持ちの端末に合う一枚を作ってみてください。



