3Dプリンターで作るおもちゃの実例一覧|素材の注意点も
子どもに「これ作って」と言われて、その場でおもちゃを印刷するのは、家庭用3Dプリンターでいちばん出番が多い用途のひとつです。
ただし、小さな子が口に入れたり踏んだりする前提になるので、造形物の設計も素材選びも大人向けの小物とは条件が変わります。
Bambu Lab A1 miniの造形サイズは180×180×180mmで、手のひらサイズのミニカーやコマなら何個も並べて一度に刷れる一方、サポート材のとげや層の段差はそのまま子どもの手に触れます。
本記事では、おもちゃ作りで起きやすい失敗・PLAとPETGとTPUの使い分け・誤飲や強度への備え・データの探し方を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
おもちゃ作りで最初に起きるのは、強度不足と細かい部品の破損
大人の小物づくりと子どものおもちゃで決定的に違うのは、扱われ方が荒いことです。
棚に飾るフィギュアは落としませんが、子どもが遊ぶ車は投げますし、踏みます。
FDM方式(溶かした樹脂を積み重ねる方式)で作った造形物は層と層の境目が弱点になるため、積層方向に対して横から力が加わると、あっさり層間で割れます。
とくに折れやすいのが、細い軸・薄い羽根・小さな突起です。
ミニカーの車軸を直径2mmで設計すると、だいたい一度か二度の落下で折れます。
ここは造形の向きと肉厚で解決してください。
軸や支柱のような細い部分は、力がかかる方向と積層の向きが平行にならないよう配置し直すだけで、折れ方がはっきり変わります。
あわせてスライサーソフト(3Dデータを印刷命令に変換するソフト)側で、ウォール(外壁)を3〜4本に増やし、インフィル(内部の充填率)を20〜30%程度に上げておくと中身が詰まります。
もうひとつ、子どもが遊ぶ造形物では角と面の処理が品質を左右します。
印刷直後の造形物にはサポート材の切り残しが残り、先端がとがって指に刺さることがあります。
なるべくサポートの要らない形に設計するか、サポートが付く面を底面側に回して、使う前に必ず大人がやすりで角を落としてください。
子どものおもちゃにはPLA・PETG・TPUをどう使い分けるか
A1 miniとA1の公式推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVAの4つです。ABSやASAは公式に「推奨ではありません」とされているので、この2機種で遊び道具を作るならPLA・PETG・TPUの3タイプから選ぶことになります。
形を出すならPLA、落とす前提ならPETG
PLAは反りが少なく、細部がきれいに出る素材です。
色数も多く、マットやシルクのような質感違いも選べるため、見た目を楽しむ造形物に向いています。
一方で硬くて粘りが少ないので、落下や曲げには弱い面があります。
積み木やパズルのように厚みのある塊なら問題は出にくいですが、細い部品を含むおもちゃでは割れやすさが出ます。
PETGはPLAより粘りがあり、力がかかっても割れる前に少したわみます。
車のボディや接続部品のように繰り返し力が加わる部分はこちらが向いています。
ただし糸引きが出やすく、細かいディテールはPLAほどシャープに決まりません。
見た目優先ならPLA、耐久優先ならPETGという分け方で考えてください。
柔らかい手触りが要るならTPU
TPUはゴムのように曲がる素材です。
噛んでも角が立たないブロックや、投げても壊れにくいボール、はめ込み部品のクッションに使えます。
印刷難度は上がり、A1シリーズの多色ユニットであるAMS liteはTPU非対応なので、使うときは単色で本体に直接セットしてください。
| 素材 | 向くおもちゃ | 弱点 |
|---|---|---|
| PLA | 積み木・パズル・飾り中心の模型 | 落下や曲げで割れやすい |
| PETG | 車体・はめ込み部品・外で使う物 | 糸引きが出てディテールが甘くなる |
| TPU | ボール・緩衝部品・柔らかいブロック | 印刷が難しくAMS liteで使えない |
おもちゃでは避けたい設計と素材の組み合わせ
まず、小さな子が遊ぶ物に直径数ミリの独立した部品を作らないでください。
外れた車輪やボタン型の部品は誤飲の原因になります。
分割しないと刷れない形なら、遊ぶ前に大人が接着して一体化してしまうほうが安全です。
接着する場合、素材によって使える接着剤が変わります。
セメダインPPXのようなプライマー式の製品はPE・PP・POM・シリコーンゴムなどの難接着材料向けと公式に明記されていて、アクリル系やポリカーボネート系には割れの注意書きがあるため、使う前に適合を確認してください。
次に、口に入る可能性がある物への色付き素材の多用です。
3Dプリンターで作った造形物は、層の間に目に見えない隙間が残ります。
食器や歯固めのように口に触れる用途は、洗っても隙間の汚れが落ちにくいという構造上の問題があるため、このメディアでは勧めません。
おもちゃは「口に入れない年齢の子が、手で遊ぶ物」に限定して考えるのが現実的です。
熱に弱い点も覚えておいてください。
PLAは夏の車内やベランダに置くと変形します。
屋外に持ち出す遊具を作るならPETGにして、PLAは室内用と割り切るのが無難です。
なお、気になる体調の変化があった場合は医療機関に相談してください。
印刷時間と音、子どもと作る日の進め方
おもちゃは「今日作って今日遊びたい」という要求と相性が悪い用途です。
手のひらサイズのミニカーでも、積層0.2mmで刷れば1〜2時間はかかりますし、パーツを何個も並べれば半日に届きます。
子どもと一緒に作るなら、午前にデータを選んでスライス、印刷中は別の遊びをして、夕方に仕上げという組み立てにすると待ち時間の不満が出にくくなります。
音については、A1 miniがサイレントモード48dB以下という公式記載を持っています。
アクティブモーターノイズキャンセリングという仕組みでモーター音を抑える機能で、リビングに置いて昼間動かすぶんには会話の邪魔になりにくい水準です。
ただしA1側にはこの数値の公式記載がありません。
同じ構造だから同じ静かさだとは言い切れないので、寝室の近くに置く計画なら余裕を見ておいてください。
長時間の印刷になる場合でも、完全な留守中や就寝中に動かし続けるのは勧めません。子どもが触れる場所にプリンターを置くなら、ノズルは300℃まで、ビルドプレートはA1 miniで80℃、A1で100℃まで上がることを前提に、印刷中は近づかせない約束を先に決めておくのが現実的です。
自分で設計するか、公開データを使うか
おもちゃは形が複雑なぶん、ゼロから設計すると子どもの集中力が先に尽きます。最初の数回は公開データを使い、慣れてから自作に移るほうが続きます。
子どもが自分で作るならTinkercad
Tinkercad(ティンカーキャド)はAutodeskが提供するブラウザで動く無償の3Dデザインツールで、ダウンロードが要りません。
広告が表示されず、kidSAFE認定とクラス機能を備えていて、公式サイトでも教育利用が中心に案内されています。
箱と円柱を組み合わせて削るという操作だけで積み木やスタンプは作れるので、小学生が自分の手で形を出す最初の一歩に向いています。
もっと寸法を詰めた設計をしたくなったら、Autodesk Fusion for personal useという選択肢があります。個人の非商用プロジェクト専用で、年間収入1,000米ドル未満の個人に限るという条件が公式に示されているため、使う前に利用条件を確認してください。
公開データはライセンス表示を見てから使う
MakerWorldやPrintables、Thingiverseには、子ども向けの模型やパズルのデータが多数公開されています。
MakerWorldのライセンスはモデルごとに作者が設定する方式で、派生禁止(ND)や同一ライセンス継承(SA)といった条件がモデルページに表示されます。
家庭で自分の子どもに作るぶんには問題になりにくいですが、知人に配る、販売するといった話になると条件が変わるので、ダウンロード前にライセンス欄を見る習慣を付けてください。
データの探し方と機種ごとの使い分けはキーホルダー作りのデータの探し方で解説しています。
おもちゃ以外にも家庭で作れる物の幅を知りたい場合は、3Dプリンターで作れるものの実例に用途別の作例をまとめています。プラモデルの周辺ならガンプラ支援グッズの実例、遊んだあとの片付けまで含めるなら収納グッズの実例が参考になります。
おもちゃ中心なら、どの機種とサイズを選ぶか
作る物が手のひらサイズ中心なら、A1 miniの180×180×180mmで足ります。
重さ5.5kgで本体寸法が347×315×365mmと小さく、リビングの棚にも置けます。
ただしA1 miniはベッドが前後に動くタイプなので、本体寸法だけで設置場所を決めると、印刷中にプレートが棚の縁にぶつかります。
奥行きは本体寸法より一回り広く見積もってください。
ドールハウスの壁一枚、大きめのロボット模型の胴体、レールのような長い部品を一体で刷りたいなら、A1の256×256×256mmが候補になります。
分割して接着する手間が減るぶん、子どもが遊ぶ物の強度も上がります。
ベッド最高温度も100℃まで上がるので、PETGの定着で苦労しにくい点も利点です。
色を分けたい場合は、AMS lite(4巻のフィラメントを自動で切り替える開放型ユニット)がA1シリーズに対応しています。
PLAとPETGはどちらも対応素材ですが、TPUは非対応です。
柔らかいおもちゃを作る日は、AMS liteを外して単色で刷ると割り切ってください。より密閉構造でABSまで扱いたい段階になればP1SやCentauri Carbonといった選択肢もありますが、子どものおもちゃが主目的なら、PLAとPETGが安定して刷れるA1シリーズで十分に届きます。
よくある質問
3Dプリンターで作ったおもちゃは何歳から持たせていいですか
年齢の目安を示す公的な基準はありません。
判断材料になるのは、その造形物に外れる小部品があるか、角がとがっていないか、口に入る大きさかの3点です。
口に物を入れる時期の子には、FDM方式の造形物は層の隙間に汚れが残るという構造上の理由から勧めません。
遊んでいるうちに車輪の軸が折れます。どう直せばいいですか
軸を太くするのが最初の対策です。
直径を2mmから4mmに増やすだけで断面積は4倍になります。
それでも折れる場合は造形の向きを変えて、軸の長手方向と積層方向が同じにならないよう配置してください。
素材をPLAからPETGに変えると、割れる前にたわむ余地が生まれます。
子どもと一緒に作るとき、プリンターに触らせても大丈夫ですか
印刷中のノズルは最高300℃、ビルドプレートはA1 miniで80℃まで上がります。
印刷中は触らせず、完全に冷えてから造形物を外す作業だけを一緒にやる形にしてください。
A1 miniにはカメラが付いているので、Bambu Handyの画面で進み具合を見せると、近づかせずに済みます。
公開データのおもちゃを作って、フリマアプリで売ってもいいですか
モデルごとのライセンス次第です。
MakerWorldは作者がCC系のライセンスを設定する方式で、派生禁止や非商用の条件が付いているモデルがあります。
商用利用の可否はモデルページのライセンス表示で判断してください。
表示がない、または読み取れない場合は売らないのが安全な扱いです。
まとめ
おもちゃ作りで差が出るのは、プリンターの性能よりも素材選びと設計のほうです。
見た目を出したいならPLA、落として遊ぶならPETG、柔らかさが要るならTPUという3タイプの使い分けを覚えると、折れる・割れるという失敗がかなり減ります。
細い軸は太くし、サポートの切り残しは大人がやすりで落とし、小部品は接着して一体化します。
この3つを守るだけでも、遊べる期間が変わります。
機種は、手のひらサイズ中心ならA1 miniの180mm角、ドールハウスや大きめの一体造形まで視野に入れるならA1の256mm角が目安です。ぜひ本記事の素材別の使い分け表と設計の注意点を参考に、お子さんと作る最初の一つを選んでみてください。



