3Dプリンターのフィラメントおすすめ|メーカーの選び方
フィラメント選びで最初に決まるのは、作った物をどこに置くかです。
夏の車内やベランダで使う物にPLAを選ぶと、熱で変形します。
棚に飾る置物なら、耐熱より印刷の素直さが優先されるのでPLAで十分です。
1.75mm径という共通の太さがあるので、どの銘柄も物理的には差し込めてしまうのが、かえって選択を難しくしています。
本記事では、用途から素材を逆算する手順・PLA/PETG/TPUの違い・AMS(自動フィラメント切替ユニット)との相性・買ってから困りやすい保管の落とし穴を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
フィラメント選びは「置き場所の温度」から逆算する
素材表を眺める前に、完成品を置く場所の温度を思い浮かべてください。これが決まれば候補は2〜3種類まで絞れます。
PLAは熱で柔らかくなる温度が低い印刷素材です。
直射日光の当たる車のダッシュボードや、暖房器具の近くでは形が崩れます。
一方で室内の棚、デスク上の小物入れ、子どものおもちゃといった用途なら、反りにくく積層もきれいに出るPLAが扱いやすい選択です。
屋外や車内、キッチンまわりで使うならPETGに上げます。
耐熱と粘りがPLAより高く、落としても割れずにたわむ性質があります。
さらに高い耐熱が要るならABSやASAですが、ここで機種の制約が出ます。
Bambu Lab A1 miniとA1は公式にPLA・PETG・TPU・PVAが推奨とされていて、ABS・ASA・PC・PAは「推奨ではありません」と明記されています。
オープンフレームで庫内の温度を保てないためです。
つまりA1シリーズを使っているなら、耐熱の上限はPETGだと考えて選べば迷いません。
密閉型のP1SならPLA・PETG・TPU・PVA・PET・ABS・ASAまで公式対応で、選べる幅が一段広がります。素材ごとの耐熱や強度の並びはフィラメント強度比較で解説しています。
主要3タイプの違いと、それぞれが向く場面
PLA|最初の1巻はここから
低めの温度で溶けて反りにくく、ベッドへの定着も素直な印刷素材です。
Bambu Lab純正だけでもベーシック・タフ+・ピュア・マット・シルク+・グラディエント・半透明とラインが分かれていて、見た目の選択肢がいちばん多いのもPLAです。
艶を抑えたいならマット、積層痕を目立たせたくない装飾品ならシルク+というように、質感から選べます。
詳しい特徴はPLAフィラメントの基礎と最初の1巻の選び方で解説しています。
PETG|力がかかる部品と屋外向け
PETGは粘りがあり、ネジ穴まわりやヒンジのように力がかかる部品で割れにくい素材です。
そのかわり糸引きが出やすく、リトラクション(フィラメントを引き戻す動作)の設定を詰めないと細い糸が残ります。
吸湿にも敏感で、湿った状態で印刷するとパチパチと音がして表面が荒れます。
設定の勘どころはPETGフィラメントの強度と設定で解説しています。
TPU|ゴムのように曲がる素材
TPUは指で曲げられる柔らかい素材で、スマホケースの緩衝材やパッキン、滑り止めに使われます。
柔らかいぶん押し出し機構の中で座屈しやすく、速度を落として印刷するのが基本です。
印刷のコツはTPUフィラメントの扱い方で解説しています。
タイプ別の適合早見表
| 素材 | 性質 | 向いている人 | 避けたほうがよい場面 |
|---|---|---|---|
| PLA | 反りにくく印刷が素直。耐熱は低い | 買ったばかりで失敗を減らしたい人、室内の小物や模型を作る人 | 車内・屋外・暖房器具の近くに置く物 |
| PETG | 粘りと耐熱がPLAより上。糸引きと吸湿に弱い | 工具まわりの治具やフック、屋外用パーツを作る人 | 細かい装飾の多いモデル、設定を詰める時間がない場面 |
| TPU | ゴム状に曲がる。印刷速度を落とす必要あり | パッキン・滑り止め・ケースの緩衝材を作る人 | AMS liteでの自動切替、寸法精度が要る機構部品 |
| ABS・ASA | 耐熱が高い。反りやすく庫内温度が要る | 密閉型を持っていて屋外常設の部品を作る人 | A1シリーズなどオープンフレーム機(公式に推奨外) |
3タイプを横断して使い分けたい場合の判断軸はPLA・PETG・TPUの使い分けで解説しています。表に載せていない素材も含めた一覧はフィラメント種類の早見表にまとめてあります。
多色ユニットを使うなら、対応リストを先に見る
AMSを持っている人ほど、ここで思わぬ制約にあたります。
A1シリーズ向けのAMS liteは、PLA・PETG・ABS・ASA・PET・PA・PC・乾燥状態のPVA・BVOH・PP・POM・HIPS・Bambu PLA-CFに対応しますが、TPUは非対応です。
柔らかい素材が長いチューブの中で座屈するためで、TPUを使うときはAMS liteを経由せず単独で供給します。
AMS 2 Proも同様で、TPEと汎用TPU、湿ったPVA・BVOH、Bambu PET-CFやTPU 95A、他社のカーボン・ガラス繊維入りは対象外とされています。対応表にあるのは「AMS対応TPU」と明記された製品だけです。
スプールの寸法制限も見落としやすい点です。
AMS liteは幅40〜68mm・内径53〜58mm、AMS 2 Proは幅50〜68mm・直径197〜202mmと決まっていて、大径のリールや幅広のスプールは入りません。
まとめ買いの前に、手元のユニットの数値と商品ページの寸法を突き合わせてください。
フィラメント選びで起きやすい3つのミスマッチ
カーボン繊維入りを標準ノズルのまま買ってしまう
繊維入りはノズル内壁を削るので、真鍮ノズルでは穴が広がって押し出し量が狂います。
P1Sは標準が0.4mmのステンレススチールノズルで、公式FAQでもカーボン・ガラス繊維系は不向きとされています。
繊維入りを使うなら、P2Sの焼入スチールノズルやCreality K1Cのトライメタルノズルのように、硬いチップを備えた機種かどうかを先に確かめてください。
見た目だけで選んで印刷難度を上げてしまう
シルク系や半透明は光沢がきれいな反面、積層のムラが目立ちやすく、温度設定の許容幅が狭くなります。買ったばかりでまだ設定に慣れていない段階なら、マットかベーシックのPLAで形を出す練習をしてから質感物に進むほうが、無駄にする巻数が減ります。
みっつ目は、安さに引かれて複数ブランドを一度に買う方法です。
1.75mmという表記は共通でも、実際の太さの公差やリールの巻き方はメーカーで違います。
送り不良や巻き癖によるトラブルが出たとき、銘柄が混ざっていると原因の切り分けができません。
最初はBambu Lab純正、ELEGOO、eSUNといった流通量の多いところから1〜2銘柄に絞ると、不調の原因を機種側か素材側かで判断できます。
保管と乾燥まで含めて初期費用を考える
フィラメントは空気中の水分を吸います。
吸湿した状態で印刷すると、ノズル内で水分が蒸発して気泡になり、表面がざらついたり層が付かなかったりします。
PETG・TPU・PVA・ナイロンはとくに吸いやすい素材で、開封したまま棚に置くと数日で印刷品質が変わります。
対策は2段階です。
使わない巻は乾燥剤と一緒に密閉容器へ入れ、すでに湿ってしまった巻はフィラメント乾燥機で水分を抜きます。
SUNLU FilaDryer S2は1kg巻を1本、最高70℃でPLA・PETG・TPU・ABS・PVA・PVBに加えPAとPCまで対応し、印刷中にそのまま給送できます。
巻数が増えてきたならFilaDryer S4が1kg巻を4本同時に扱え、庫内湿度が50%を超えると自動で再加熱する仕組みを持っています。
AMS 2 Proには最高65℃のアクティブ乾燥機能がありますが、A1・P1・X1系で乾燥を使うには外部電源アダプターが必要で、プリンターに接続せず単体で乾かす使い方はできません。ABSやASA、PA、PCのように高い温度で乾かす素材には、公式がAMS HTを案内しています。
乾燥の温度と時間は素材とメーカーで異なるため、必ず手元の製品の推奨値を確認してください。素材別の目安はフィラメント乾燥時間と温度の目安表、密閉保管の具体的なやり方はフィラメント保管方法で解説しています。
よくある質問
最初の1巻はどの素材を買えばいいですか
PLAのベーシックかマットを1巻から始めると、印刷の基準が作れます。
反りにくく定着も素直なので、うまくいかなかったときに原因が機種側の設定にあると判断しやすくなります。
色を増やすのはその後で間に合います。
A1 miniでABSを印刷してはいけませんか
公式仕様ではABS・ASA・PC・PA・PET・カーボンやガラス繊維強化材が「推奨ではありません」とされています。
オープンフレームで庫内の温度を保てず、収縮による反りが抑えられないためです。
ABSを使う予定があるなら、密閉型のP1SやCentauri Carbonのように庫内が囲われた機種を検討してください。
他社のフィラメントでもBambu Labの機種で使えますか
1.75mm径であれば物理的には使えますが、純正に付いているRFIDタグがないため、素材の種類や推奨設定は自分で指定します。AMSに入れる場合は、使う素材がそのユニットの対応リストに載っているかを先に確かめてください。
湿ったフィラメントは見た目で分かりますか
巻いた状態では判断できません。
印刷中にノズルからパチパチと音がする、表面が泡を吹いたようにざらつく、糸引きが急に増えるといった症状が出たら吸湿を疑ってください。
乾燥させると改善する場合があります。
安いフィラメントと純正では何が違いますか
公開されている情報で確認できる差は、径の公差の管理、RFIDによる自動設定、色のラインナップの数です。印刷品質そのものは機種の設定や保管状態にも左右されるため、銘柄だけで決まるものではありません。
まとめ
フィラメントは、置き場所の温度で素材を決め、使う機種の公式対応リストで候補を絞り、AMSを使うならその対応表でもう一度確認する、という順で選ぶと外しません。
A1シリーズならPETGが耐熱の実用上限で、ABSやASAを使いたいなら密閉型の機種から検討することになります。
買ったあとの品質を左右するのは保管で、乾燥剤入りの密閉容器か乾燥機をセットで用意しておくと、せっかくの1巻を無駄にせずに済みます。
ぜひ本記事のタイプ別適合早見表と、AMSの対応素材・スプール寸法の確認手順を参考に、自分が作りたい物に合う1巻を選んでみてください。



