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ABSフィラメントは家庭用3Dプリンターで使える?条件と代替素材

夏の車内に置いた小物が変形した。

次はABSで作ろうと商品ページを開いたら、対応フィラメントの欄にABSの名前がない。

これは珍しいことではありません。

ABSはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合体で、PLAより熱と衝撃に強い反面、冷えるときの収縮が大きく、庫内の温度を保てないプリンターでは反りや層割れが出ます。

Bambu LabのA1とA1 miniも、ABS・ASA・PC・PAを公式に「推奨ではありません」としています。

つまりABSは、フィラメント側の表記だけを見て決められない素材です。

本記事では、ABSとASAの表記が示す意味・PLAやPETGとの違い・自分のプリンターで使えるかの判断手順・買う前に確認する場所を解説します。

おうち3Dプリンター編集部

おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

ABSフィラメントは、熱と衝撃に強いかわりに冷えると縮む樹脂

ABSは3種類の原料(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)を共重合させた樹脂の総称です。

名前が原料の頭文字なので、配合比が違っても同じ「ABS」として売られます。

ここが後述する設定のばらつきの出どころになります。

家庭用FDM(フィラメントを溶かして積む方式)向けの製品は径1.75mmが主流で、機種によっては2.85mm(3.0mmと表記されることもある)を使います。

この2つは互換ではないので、まずプリンター側の対応径を確認してください。

ラベルの数字はノズル温度・ベッド温度・径の3つ

スプールのラベルや商品ページに並ぶ数値は、たいていこの3つです。

ノズル温度はPLAより高い帯(おおむね230〜260℃前後)、ベッド温度は90〜110℃前後を推奨とする製品が多く、いずれも幅で書かれています。

単位の読み違えにも注意してください。

mmはフィラメント径や造形サイズ、mm/sは印刷速度です。

ABSは高速で押し出すよりも、庫内が冷えないように安定した速度で積むほうが結果が揃いやすい素材です。

ASAはABSの紫外線対策タイプ

ASAはアクリロニトリル・スチレン・アクリレートの共重合体で、ABSのブタジエン部分をアクリレートに置き換えた素材です。

ブタジエンは紫外線で劣化しやすく、ABSを屋外に置くと色あせや脆化が進みます。

ASAはそこを抑えたタイプで、耐熱や強度の性格はABSに近い。

屋外で使う部品ならASA、室内で使う部品ならABSという分け方が実用的です。

必要な印刷環境は両者ほぼ同じで、ASAだから設備が軽くなるわけではありません。

PLA・PETGとABSフィラメントの得意分野の差

4素材の性格を、家庭で作る物に効く順で並べます。

耐熱の数値はガラス転移点付近の一般的な目安で、製品や形状によって変わります。

素材耐熱の目安向いている用途必要な印刷環境
PLA低い(60℃前後で軟化しはじめる)室内の小物、模型、試作オープンフレームで可
PETG中程度力の掛かる部品、水回りの小物オープンフレームで可
ABS高い(100℃前後)車内で使う小物、機構部品、後加工前提の部品庫内温度を保てる密閉型
ASAABSと同程度屋外で日光に当たる部品庫内温度を保てる密閉型

表の最後の列が、ABSとASAを他の2つから分けている境目です。

PLAとPETGは室温の部屋でそのまま印刷できますが、ABS・ASAは造形中に庫内が冷えると層が縮んで反ります。

逆に言えば、耐熱がPETGで足りる用途ならABSに移る必要はありません。

PETGでどこまで持つのかはPETGの強度と印刷設定で解説しています。

両者の耐熱と粘りの差を数値感で押さえたい場合はPLAとPETGの違いの比較も参考になります。

ABSフィラメントを使えるかは密閉型で決まる

判断の順番は決まっています。

①筐体が密閉されているか、②ベッドの最高温度が100℃前後まで出るか、③ノズルが250℃以上出るか、④多色ユニットを使うなら対応素材に入っているか。

上から順に見て、①で落ちたらそこで終わりです。

フィラメント側をどう選んでも変わりません。

オープンフレーム機はABS・ASAの対象外

Bambu Lab A1 miniはベッド最高80℃、A1は100℃で、ノズルはどちらも300℃まで出ます。

数字だけ見ると足りているように思えますが、公式が推奨しないと明記しているのは、オープンフレームで庫内温度を保てないためです。

両機の推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVAで、ABS・ASA・PC・PAは「推奨ではありません」とされています。

囲いを自作して温度を上げる話も見かけますが、電源やモーターの冷却まで含めて設計が変わるため、公式の推奨外を前提にした運用はおすすめしません。

密閉型なら、フィルターの構成まで見る

同じBambu Labでも、P1Sは密閉筐体と活性炭フィルターを備えてABS・ASAが推奨素材に入ります。

P2Sはベッド110℃で、活性炭に加えてVOCフィルターと粒子状物質フィルターを組み合わせた構成。

H2Dはチャンバーを最高65℃までアクティブに加熱し、ベッドは120℃、フィルターはG3プレフィルタ+HEPA H12+ヤシ殻活性炭という段構えです。

ABS・ASAは印刷中のにおいが出やすい素材なので、フィルター付きの密閉型でも、部屋の換気ができる場所に置いてください。

長時間の印刷になりやすい素材でもあるため、就寝中や完全な留守中に回すのは避けたほうが安全です。

機種ごとの筐体と対応素材の違いはBambu Lab全機種の違いの比較で解説しています。

④の多色ユニットについて。

A1シリーズ用のAMS lite(自動素材供給システム)は、対応素材の一覧にABSとASAが含まれます。

ただしプリンター本体側が非推奨であれば、ユニットが対応していても使えません。

順番を逆にしないこと。

なおAMS liteはTPUが非対応で、柔らかい素材は外部スプールから直接送る必要があります。

同じABSフィラメントでも推奨設定が違う理由

ABSは配合比の幅が広く、耐衝撃性を上げた改質品や、無機フィラー入りの製品も同じ名前で流通します。

その結果、推奨ノズル温度がメーカー間で10〜20℃違うことは普通にあります。

スライサーの汎用「Generic ABS」プロファイルで印刷して層間が弱いときは、設定ではなくスプールのラベルを先に見てください。

判断の順序は、①スプール記載の推奨値を基準にする、②同じ形のテストピースを1〜2個刷って層のつき方を見る、③そこから温度を5℃刻みで動かす。

この順です。

乾燥温度も同じで、素材とメーカーで数値が違います。

フィラメントドライヤー側の上限にも差があり、SUNLU FilaDryer S2とS4は最高70℃、Creality SpacePi X4は45〜85℃の範囲で対応素材にABS・ASAを挙げています。

機器の上限とフィラメントの推奨値の両方を確認してから設定するのが原則で、迷ったら低い側に合わせてください。

メーカーごとの品質の傾向はフィラメントのおすすめメーカーの選び方で解説しています。

条件が合わないABS印刷は、反りと層割れで止まる

庫内温度が足りないまま印刷すると、症状は決まった形で出ます。

造形物の角が浮いてプレートから剥がれる。

背の高い部品の側面に横一線の割れが入る。

冷却ファンが当たっている面だけ層のつきが悪い。

どれも冷却速度の差から来る収縮が原因で、設定を細かくいじっても環境が変わらなければ再発します。

エアコンの風や窓際の外気が直接当たる位置に置いているだけで起きることもある。

もうひとつ見落とされやすいのが寸法です。

ABSは冷えるときに縮むぶんが最終寸法に出るため、ぴったり嵌める設計の部品はPLAで詰めたクリアランスのままだと入らないことがあります。

ネジ穴や嵌合部を含む部品は、本番の前に該当部分だけを切り出して確認するのが確実です。

症状から原因をたどる手順は3Dプリンターの失敗の原因を症状から探す一覧で解説しています。

ABS対応の可否は、仕様表の3か所を見れば分かる

確認する場所は3つです。

1つ目はプリンターの公式仕様ページの「対応フィラメント」または「推奨フィラメント」欄。

ここにABS・ASAの記載があるかどうかが最優先で、非推奨リストが別に載っている場合はそちらも読みます。

2つ目は同じ仕様表の「ベッド最高温度」と「ノズル最高温度」、そして筐体の記述(密閉型かオープンフレームか)。

3つ目はフィラメント側で、スプールのラベルまたは商品ページの推奨温度と径の表記です。

販売サイトの商品説明だけで判断すると、フィラメント側の「ABS対応プリンター推奨」という但し書きを読み飛ばしがちです。

プリンターの型番で公式サイトを引き、仕様表を開く。

この一手間で買い間違いはほぼ防げます。

素材ごとの守備範囲を先に見比べたい場合はフィラメント種類の特性早見表から入ると全体像がつかめます。

よくある質問

ABSとASAはどちらを選べばいいですか

置き場所で決めてください。

屋外や日光の当たる窓際で使う部品はASA、室内で使う部品はABSです。

ABSは紫外線で色あせや脆化が進みますが、ASAはその弱点を抑えた配合になっています。

印刷に必要な環境は両者ほぼ同じで、どちらも庫内温度を保てる密閉型のプリンターが前提です。

オープンフレームのプリンターでABSは印刷できますか

メーカーが非推奨としている機種では避けてください。

A1・A1 miniの推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVAで、ABS・ASA・PC・PAは公式に「推奨ではありません」とされています。

耐熱が必要な用途なら、まずPETGで足りるかを検討し、それでも足りない場合に密閉型の機種を選ぶ順序が現実的です。

素材ごとの向き不向きはPLA・PETG・TPUの使い分けで解説しています。

ABSフィラメントは乾燥させたほうがいいですか

吸湿すると押し出しが不安定になるため、開封から時間が経った巻きは乾燥をおすすめします。

ただし温度と時間は素材とメーカーで異なるので、スプールの記載とドライヤーの対応温度の両方を確認してから設定してください。

SUNLU FilaDryer S2・S4は最高70℃、Creality SpacePi X4は45〜85℃の範囲でABSを対応素材に挙げています。

まとめ

ABSとASAは、耐熱と衝撃への強さをねらった素材で、その代償として冷却時の収縮が大きく、庫内温度を保てる密閉型のプリンターが前提になります。

だからフィラメントを選ぶ前に、プリンターの仕様表で対応素材・ベッド温度・筐体の種類を見るのが先です。

ASAは屋外、ABSは室内。

耐熱がPETGで足りるなら無理に移らない、という判断も十分あります。

ぜひ本記事の4素材の比較表と、密閉型かどうかから始まる4段階の確認手順を参考に、手元のプリンターでABSが使えるかを仕様表で確かめてから1巻目を選んでください。

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