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3Dプリンターのブリッジとオーバーハングの限界と対策

張り出した部分の下面だけが、糸を垂らしたようにガサガサになります。水平な穴の上側が内側へ垂れて潰れることもあります。

オーバーハングの垂れ方は、張り出しの角度・冷却の強さ・ノズル温度の3つで決まります。

層厚0.2mm・線幅0.4mmなら、45度の張り出しでも線の半分しか前の層に乗らず、60度まで寝ると1割ほどしか支えが残りません。

一方、両端が壁につながったブリッジは張られた線の張力で形を保つため、同じ「宙に浮く造形」でも直し方が逆になる場面があります。

本記事では、オーバーハングとブリッジの切り分け方・冷却とノズル温度の直し方・効果が薄い対処を解説します。

おうち3Dプリンター編集部

おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

オーバーハングが垂れる原因は角度・冷却・ノズル温度のどれか

張り出し部分の線は、前の層の外へはみ出しながら置かれます。はみ出した部分は置いた瞬間は空中にあり、冷えて固まるまでのわずかな時間に自重で下がります。

この「はみ出し量」「固まる速さ」「樹脂のやわらかさ」の3つが、そのまま原因の候補になります。

張り出しの角度

垂直から傾くほど、1層ずつの横方向のずれが大きくなります。

層厚0.2mmで45度なら1層につき0.2mmずれ、線幅0.4mmの半分が前の層に乗ります。

60度では0.35mm近くずれるので、乗る部分はごくわずかしか残りません。

同じプリンターでも、45度の面はきれいに出て60度の面だけが崩れるのはこのためです。

冷却の強さ

空中に出た部分は、固まるまでのあいだだけ垂れます。

部品冷却ファンの風が当たっていれば数秒で固まり、形を保ったまま次の層に進みます。

小さな部品を1個だけ印刷すると1層にかかる時間が短く、前の層が温かいうちに次を重ねることになるので、同じデータでも張り出しだけ荒れることがあります。

ノズル温度とフィラメントの性質

温度が高いほど樹脂はやわらかく、固まるまでの時間も延びます。

PLAは冷却を強めれば比較的早く固まりますが、PETGは温度域が高くて粘りがあるため、同じ設定でも下面が糸を引いたようになります。

フィラメントを変えた直後に張り出しだけ悪くなったなら、まず温度側を疑ってください。

ブリッジの垂れはオーバーハングと逆の設定で直ることがある

ブリッジは、両端が壁や柱につながった空中の渡しです。

片側しか支えのないオーバーハングと違い、押し出された線は引っ張られながら架かるので、ある程度の速さで一気に渡して即座に冷やすと直線のまま固まります。

ゆっくり出すと線がたるみ、自重で下へ落ちます。

この違いを知らずに「宙に浮く部分が汚いから全体の速度を落とす」と対処すると、オーバーハング側はわずかに改善してもブリッジ側は悪化します。

スライサーソフトにはブリッジ専用の速度と流量の項目があるので、全体速度とは別に設定してください。

速度を全体としてどう決めるかは速度設定の目安で解説しています。

下面の症状を見れば原因は絞れる

崩れ方には差が出ます。どの症状が出ているかで、先に触る設定が決まります。

症状疑う原因確かめ方
下面だけ毛羽立つが形は保っている冷却不足ファンを100%にして同じデータを再印刷
先端が上へ反り、ノズルが当たる音がするノズル温度が高い状態での冷却不足温度を5℃下げて同じ高さまで印刷
45度より立った角度でも崩れるフィラメントの吸湿、または吐出量の過多開封直後の巻きや乾燥後と比べる
水平な穴や溝の上面だけ垂れるブリッジの速度と流量ブリッジ関連の設定値だけを変える
1層目から形が崩れている張り出し以外の原因定着やレベリング側を確認

最後の行に当てはまる場合、張り出しの設定をいくら触っても変わりません。症状から原因をたどる失敗の原因一覧で、どの段階の不具合かを先に切り分けてください。

オーバーハングの対処は冷却・ノズル温度・造形の向きの順

冷却を最大にして、1層あたりの時間を確保する

張り出しのある部分だけファンを100%にする設定が多くのスライサーソフトにあります。それでも足りないときは、最小レイヤー時間を延ばすか、同じ部品を複数並べて1周にかかる時間を稼ぐと、次の層が乗るまでに前の層が固まります。

ノズル温度を5℃ずつ下げる

推奨範囲の上限で印刷していると、下面はかならず垂れやすくなります。

5℃刻みで下げながら層の結合が保てる下限を探す方法が確実で、OrcaSlicerには温度タワーなどのキャリブレーション機能がそろっています。

素材ごとの目安は温度設定の目安で解説しています。

造形の向きを変える、サポートを足す

設定で粘るより、モデルを45度ほど傾けて張り出し角そのものを減らすほうが結果は安定します。

傾けられない形状ならサポートを付けますが、接地した下面には跡が残ります。

跡を小さくする条件はサポート材の外し方で解説しています。

設定を変えてもオーバーハングが直らないときに疑うこと

冷却を上げても温度を下げても下面が荒れたままなら、フィラメントの吸湿を疑ってください。

水分を含んだフィラメントは押し出した直後に気化して表面が泡立ち、宙に出た線が細く途切れます。

糸引きが同時に出ているなら糸引きの原因と対処と同じ手当てが先です。

乾燥温度は素材とメーカーで異なり、SUNLU FilaDryer S2は最高70℃でPLAからPA・PCまで対応と販売元が記載しています。

手持ちの銘柄のメーカー推奨値を確認してから設定してください。

冷却の能力そのものが足りていない場合

部品冷却ファンの風量には機種差があり、Creality K1Cのように補助冷却ファンを複数備えた構成もあります。

ダクトが割れていたり、吹き出し口が樹脂のかすで塞がっていると、設定上は100%でも風は当たりません。

点検するときは電源を切り、ノズルとヒートベッドが冷めてから手を入れてください。

加熱中のノズルは300℃近くまで上がります。

冷却を強められない印刷素材を使っている場合

ABSやASAは急に冷やすと層の間で割れたり反ったりするため、冷却で張り出しを直す手が使えません。

密閉型のBambu Lab P1Sは庫内の温度を保つ作りでABS・ASAに対応しますが、PLAと同じように強く冷やす前提ではありません。

A1 miniやA1ではABS・ASA・PC・PAが公式に推奨ではないとされています。

これらのフィラメントを使うなら、向きの変更・サポート・部品の分割で形状側から解くことになります。

効果が薄いのに勧められがちな対処

インフィル密度を上げても張り出しの下面は変わりません。

垂れているのは外周の線であって、その下にあるのは空気です。

密度の決め方はインフィルの密度とパターンで解説していますが、張り出し対策として上げると造形時間と樹脂の消費が増えるだけです。

ベッド温度を上げる対処も同じです。

ベッドの熱が届くのは下の数層で、高い位置の張り出しには関係しません。

裾だけが外へふくらむ症状なら、それは張り出しではなくエレファントフットで解説している1層目の問題です。

速度をひたすら落とすのも、ブリッジでは逆の結果になります。

層厚を極端に薄くする方法は1層あたりのずれ量が減るので理屈は合いますが、冷却が足りていない状態では下面の毛羽立ちは残り、印刷時間だけが延びます。

冷却と温度を詰めたあとの微調整として使ってください。

よくある質問

オーバーハングは何度まできれいに出せますか

機種の冷却能力とフィラメントで変わるため、一律の角度はありません。

層厚0.2mm・線幅0.4mmという条件では45度で線の半分が支えられ、そこから寝るほど急に支えが減ります。

角度を段階的に変えたテストモデルを一度印刷して、自分のプリンターとよく使う銘柄での限界を控えておくと、設計のときに迷わなくなります。

サポート材を付ければ下面はきれいになりますか

垂れは止まりますが、接地した部分には跡が残ります。見える面に張り出しが来ないようモデルの向きを変えるほうが仕上がりは良く、サポートは向きを変えても消せない部分に絞って使ってください。

水平な穴の上側だけが潰れるのはなぜですか

穴の天井は短いブリッジになっていて、渡した線がたるむと内側へ垂れます。

ブリッジ側の設定を見直すほか、モデル側で穴の上半分を涙のような形にしておくと、張り出し角が立って垂れにくくなります。

ネジやシャフトを通す穴なら、垂れを見込んで少し大きめに設計する方法もあります。

まとめ

オーバーハングの垂れは、張り出しの角度・冷却・ノズル温度のどれかで説明がつきます。

まず症状を見て、形が保たれたまま下面が毛羽立つなら冷却、先端が反るなら温度、45度より立った面まで崩れるならフィラメントの状態という順に当たってください。

両端が支えられたブリッジは速く渡して即座に冷やす造形なので、同じ「宙に浮く部分」でも全体速度を落とす対処は向きません。

ぜひ本記事の症状別の切り分け表と、冷却・ノズル温度・造形の向きという手順を参考に、今印刷しているモデルのどこから直すかを決めてください。

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