3Dプリンターのレベリングのやり方|自動でもズレる時の対処
1層目がプレートに乗らない、片側だけ潰れるといった症状が出ます。
この症状のほとんどは、ノズルとプレートの距離が合っていないことが原因です。
Bambu Lab A1 miniやELEGOO Centauri Carbonのように全自動キャリブレーション(121点自動レベリングなど)を積んだ機種なら、ユーザーがやる作業は「印刷前にプレートを掃除する」ことにほぼ集約されます。
自動機でも汚れたプレートの上では数値が狂い、手動機では紙1枚ぶんの感覚が結果を決めます。
本記事では、レベリングの基本手順・ずれたまま印刷したときに起きること・症状別の直し方・素材ごとの違いを解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
レベリングとは何をしている作業なのか
レベリングは、ベッド(造形プレート)の傾きとノズル先端の高さを揃え、1層目を適切な厚みで押しつぶすための調整です。名前は「水平出し」ですが、実際に揃えたいのは水平そのものではなく、プレート面とノズルの距離が全面で均一になっている状態です。
現行の家庭用機は大きく2タイプに分かれます。
センサーでプレート面の複数点を測り、ずれをソフト側で補正する自動タイプと、四隅のノブを回して物理的に高さを合わせる手動タイプです。
Bambu Lab A1 miniやA1はフルオートキャリブレーションを備え、ELEGOO Centauri Carbonは121点の自動レベリングを公式が明記しています。
自動機を使っているなら、ノブを回す作業そのものが存在しません。
ただし自動タイプでも、Zオフセット(ノズルとプレートの基準距離)の微調整はユーザー側に残ります。測定で傾きは補正できても、「どれだけ押しつぶすか」は好みと素材で変わるためです。
レベリングの基本手順
自動キャリブレーション機の手順
- プレートを外し、中性洗剤とぬるま湯で全面を洗って完全に乾かす。油分が1カ所でも残っていると、その点だけ測定値がずれます
- ノズル先端に付いた樹脂のかたまりを、加熱した状態で取り除く。固まった樹脂がセンサーの接触点になると、実際より低い位置を基準にしてしまいます
- プリンターを水平で揺れない台に置く。測定中に筐体がたわむと、補正値そのものが現実と合わなくなります
- 本体メニューからキャリブレーションを実行し、終わるまで触らない
- 1層目を観察する。線同士がわずかに溶け合って面になっていれば適正です
手動ノブ式の手順
手動機では、プレートとノズルの両方を印刷時の温度まで温めてから始めてください。
金属は熱で伸びるので、冷えた状態で合わせた高さは印刷中にずれます。
温まったらノズルを1つ目の角へ移動させ、コピー用紙を1枚はさんでノブを回します。
紙を引いたときに軽い抵抗を感じ、破れずに動く位置が基準です。
四隅と中央を順に回り、1周では決まらないので2〜3周繰り返してください。
1カ所を下げると対角が持ち上がるためです。
レベリングがずれたまま印刷するとどうなるか
ノズルが高すぎる場合、1層目の線が丸いまま並び、線と線の間に隙間ができます。
この状態ではプレートとの接着面積が足りず、印刷の途中でモデルが剥がれて浮き、ノズルに引きずられたフィラメントが絡みついたかたまりになります。
角から浮き上がる反りも、素材の収縮だけでなく1層目の定着不足が重なって起きます。
反りそのものの切り分けは反りの原因と対処法で解説しています。
逆に低すぎる場合、1層目が過剰に押しつぶされて外周がはみ出し、底面の縁が段のように広がります。
これがエレファントフットと呼ばれる症状で、寸法が必要な部品では組み合わせが入らなくなります。
症状と設定の対応はエレファントフットの原因と直し方で解説しています。
さらに低いと、ノズル先端がプレートを削ります。
PEIプレートの表面コーティングは一度傷つくと戻らず、その箇所だけ定着しなくなるため、プレートごと交換することになります。
手動で下げすぎるより、少し高めから0.02mm単位で下げるほうが被害が出ません。
症状別に見るレベリングの失敗と直し方
片側だけ定着しない
プレート全面ではなく一方の端だけ剥がれるなら、傾きが残っています。
自動機なら、プレート裏の磁石面と本体ベッドの間にフィラメントのかけらが挟まっていないか確認してください。
1mmにも満たないかけらでも、その上のエリア全体が持ち上がります。
手動機では、剥がれる側のノブを締めてノズルに近づけます。
中央だけ浮く・中央だけ潰れる
四隅が合っているのに中央で症状が出るのは、ベッドそのものの反りです。四隅のノブでは中央の高さを直接動かせないため、スライサーソフト側のメッシュベッドレベリング(面を格子状に測って補正する機能)を有効にするか、Zオフセットを中間の値に妥協させることになります。
自動キャリブレーションをやり直しても改善しない
測定は正しく動いているのに1層目が合わないなら、原因はプレート表面です。
皮脂は指で触れただけで付き、アルコールで拭いても落ちきりません。
中性洗剤で洗ってください。
それでも直らない場合は1層目以外の設定が絡んでいるので、失敗の原因を症状から探す一覧で症状を突き合わせると切り分けが早くなります。
レベリングに使う道具と代用できるもの
手動調整で要るのは、紙1枚とノズルを拭くための布だけです。
専用のシックネスゲージ(厚みを測る薄い金属板)もありますが、コピー用紙は約0.1mmで、1層目の目安としては充分に使えます。
付箋や名刺は厚みがばらつくので、同じ種類の紙を使い続けてください。
プレートの清掃には食器用中性洗剤とぬるま湯、仕上げに台所用のキッチンペーパーを使います。
研磨剤入りのスポンジとメラミンスポンジは、PEI面のコーティングを削るので使わないでください。
ノズル周りの樹脂取りには真鍮ブラシが向いています。
スチールブラシはノズル先端を傷めます。
| 用途 | 推奨 | 避けるもの |
|---|---|---|
| 隙間の基準 | コピー用紙(約0.1mm) | 付箋・名刺(厚みが不定) |
| プレート清掃 | 中性洗剤+ぬるま湯 | 研磨剤入りスポンジ |
| ノズル清掃 | 真鍮ブラシ | スチールブラシ |
レベリングをやり直すタイミングの目安
毎回やる必要はありません。
自動キャリブレーション機は印刷開始時に自前で測るので、ユーザーが明示的に実行するのは条件が変わったときだけで足ります。
具体的には、プリンターを別の場所へ移動させたとき、プレートを別タイプ(テクスチャーPEIとスムースPEIなど厚みが違うもの)に交換したとき、ノズルを交換したときです。
A1 miniのようにネジ無しでノズルを交換できる機種でも、取り付け位置の個体差があるため交換後は実行してください。
手動機では、1層目の仕上がりを毎回見て判断します。
線が面になっていれば触らず、隙間が見えるか縁がはみ出したときだけ調整します。
長期間動かしていなかった場合も、輸送や温度変化でフレームが動いているので一度確認してください。
PLA・PETG・TPUで変わる1層目の合わせ方
レベリングの物理的な手順は素材で変わりませんが、適正とされる押しつぶし具合とベッド温度が変わります。A1 miniの推奨素材はPLA・PETG・TPU・PVAで、ベッド温度の上限は80℃、A1とCentauri Carbonはそれぞれ100℃・110℃まで上げられます。
PLAは収縮が小さく、1層目がやや高めでも定着します。標準的なZオフセットで問題が出にくいので、調整の基準として最初にPLAで合わせるのが実用的です。
PETGはプレートに食いつきすぎる性質があり、PLAと同じ高さにするとPEI面に樹脂が焼き付いて剥がれなくなります。
PETGではノズルをPLAよりわずかに高めにして、押しつぶしを浅くしてください。
糊(スティックのり)を離型剤として薄く塗る方法もあります。
温度側の目安は温度設定の目安で素材別に解説しています。
TPUは柔らかく、1層目で潰しすぎると線が横に逃げて寸法が出ません。
送り出しの抵抗も大きいので、ノズルが低すぎると押し出し不足で線が途切れます。
PETGと同じく、やや高めから始めて様子を見てください。
なお、AMS lite(4巻のフィラメント自動切替ユニット)はTPU非対応とされているので、TPUを使うときは直接セットします。
よくある質問
自動レベリング搭載機なら手動調整は一切不要ですか
ノブを回す作業は不要ですが、Zオフセットの微調整は残ります。
測定で傾きは補正できても、1層目をどれだけ押しつぶすかは素材とプレートの組み合わせで変わるためです。
1層目を見て、隙間があれば数値を下げ、縁がはみ出すなら上げてください。
印刷のたびにキャリブレーションを実行すると機械が傷みますか
通常の使用で想定された動作なので、実行そのものが故障につながるわけではありません。ただし毎回数分の待ち時間が発生するため、条件が変わっていない連続印刷では省略するほうが時間の無駄が減ります。
紙1枚の抵抗という感覚がつかめません
紙を前後に動かしたとき、ノズルに擦れてざらつきを感じるものの、紙が破れたり曲がったりしない位置です。
まったく抵抗がなければ高すぎ、紙が動かないか皺になるなら低すぎます。
判断に迷うときは、テスト用に薄い四角形を1層だけ印刷して仕上がりで確かめるほうが確実に分かります。
レベリングを直しても糸引きが消えません
糸引きはノズル高さではなく、温度・リトラクト設定・フィラメントの吸湿が原因です。
1層目の症状とは別の問題として切り分けてください。
糸引きの原因と対処法で設定側と湿気側の見分け方を解説しています。
まとめ
レベリングで本当に合わせているのは水平ではなく、ノズルとプレートの距離です。
自動キャリブレーション機を使っているなら、作業のほとんどはプレートの洗浄とノズル先端の清掃で、測定そのものは機械に任せられます。
手動機では温めてから紙1枚で合わせ、四隅を2〜3周してください。
そして1層目が出来上がったら、線が面になっているかを毎回見てください。
隙間があれば高すぎ、縁が段になっていれば低すぎで、どちらも0.02mm単位の調整で収まります。
ぜひ本記事の症状別の直し方と素材ごとの合わせ方を参考に、自分の機種とプレートに合う1層目を見つけてください。



