3Dプリンターのドライボックスを自作する方法|防湿保管
開封から数週間たったPLAで印刷すると、ノズルからプツプツと音がして表面が毛羽立ちます。ドライボックスの自作でそろえるのは、パッキン付きの密閉容器・乾燥剤・湿度計の3点だけです。
ただし自作の箱でできるのは、乾いた状態を保つところまでです。SUNLU FilaDryer S4が庫内を最高70℃まで上げて湿度25%まで下げる設計であるように、すでに吸湿したフィラメントを戻すには加熱が要ります。
本記事では、密閉容器と乾燥剤での組み立て手順・湿度が下がらないときの直し方・PLAやTPUで変わる保管の優先度を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
ドライボックス自作の手順|容器の内寸・乾燥剤・湿度計の順に決める
容器は内寸220mm角を目安に選ぶ
先に決めるのは容器の内寸です。
1kg巻のスプールは、Bambu LabのAMS 2 Proが受け付ける寸法で直径197〜202mm・幅50〜68mm、Creality SpacePi X4では直径200mm以下・幅150mm以下と案内されています。
手持ちのフィラメントもだいたいこの範囲に収まるので、内寸220mm角あれば1本は余裕を持って入り、2本3本と並べるなら幅をその分だけ足してください。
ふたにパッキンが入っていない収納ボックスは、見た目が密閉型でも外気が入ります。
乾燥剤は小分けにして複数入れる
シリカゲルは大袋をひとつ放り込むより、小分けの袋を数個に分けて入れたほうが、交換のときにスプールを全部出さずに済みます。
吸湿すると色が変わるタイプなら、ふたを開けずに残りの余力が分かります。
再生して使えるかどうか、使える場合の加熱方法は製品によって違うので、袋やパッケージの表示を確認してください。
湿度計を入れて数字で判断する
湿度計がないと、乾燥剤がまだ吸えるのか吸い切ったのかを判断できません。
小型のデジタル湿度計をスプールの横に置いて、ふた越しに読める向きにします。
目標の数字はフィラメント乾燥機の制御が参考になり、SUNLU FilaDryer S4は庫内湿度が50%を超えると自動で再加熱し、設定範囲は30〜50%、25%まで下げる仕様です。
自作の箱でも、50%を超えたら手当てが必要というラインは同じように使えます。
印刷しながら使うなら給送口を付ける
容器の側面に穴を開けてグロメットでPTFEチューブを通すと、ふたを閉じたままプリンターへフィラメントを送れます。
穴の高さはスプールの中心あたりに合わせ、チューブが急に曲がらない角度にしてください。
穴あけ工具がない場合は、印刷のときだけふたを開ける運用でもかまいません。
自作ドライボックスはフィラメント乾燥機の代わりにならない
ここを取り違えると、手間をかけた箱が役に立ちません。
常温で密閉しただけの容器では、樹脂の内部まで入り込んだ水分はほとんど出ていきません。
市販のフィラメント乾燥機が加熱するのはそのためで、Creality SpacePi X4は45〜85℃、SUNLU FilaDryer S2は最高70℃、Bambu LabのAMS 2 Proは最高65℃のアクティブ乾燥を備えています。
湿ったまま入れた1本を「乾燥済み」と思い込むと、印刷を始めてから失敗に気づきます。
AMS 2 ProとAMS liteは、湿ったPVAやBVOHを非対応と公式に明記しているので、水溶性サポート材を使う人はとくに扱いを分けてください。
なお、箱の中に電球やヒーターを入れて加熱する改造はおすすめしません。
温度制御がないまま樹脂のスプールと容器を温めることになり、変形や発火の危険があります。
加熱が必要だと分かった時点で、専用のフィラメント乾燥機に任せるのが現実的です。
自作ドライボックスでよくある失敗と直し方
湿度が40%台から下がらない
原因は乾燥剤の量不足か、すでに吸い切っているかのどちらかです。
容器が大きいほど必要な量は増えるので、まずは倍量に増やして半日置き、数字が動くかを見ます。
それでも下がらないなら、ふたのパッキンが浮いているか、給送口のすき間から外気が入っています。
ふたを開けるたびに数字が戻る
部屋の湿度が高い日は、開けた数十秒で庫内の空気が入れ替わります。よく使う1本だけを小さい箱に分け、在庫は別の箱にまとめて開閉回数を減らすと、湿度計の振れ幅が小さくなります。
給送口でフィラメントが送れない
チューブの内径が細すぎるか、スプールが回らずに引っ張られている状態です。
スプールを載せる丸棒にベアリングを入れるか、棒の表面がざらついていないかを確かめてください。
押出機が空回りする音がするときは、送り出しの抵抗が原因であることが多く、箱の外にスプールを出すと症状が消えるかどうかで切り分けられます。
必要な道具と、代用が利くもの
| 品目 | 役割 | 代用・省略の可否 |
|---|---|---|
| パッキン付き密閉容器 | 外気を遮る | 必須。密閉できない収納ボックスでは成立しない |
| 乾燥剤(シリカゲル) | 庫内の湿気を吸う | 必須。色で吸湿が分かるタイプが扱いやすい |
| 小型湿度計 | 状態を数字で見る | 省略すると交換時期を判断できない |
| 丸棒・ベアリング | スプールを回す | 塩ビパイプなどの棒材で代用できる |
| PTFEチューブ+グロメット | 閉じたまま給送する | ふたを開けて使うなら不要 |
| ホールソー・デザインナイフ | 給送口の穴あけ | 穴を開けない構成なら不要 |
100円ショップで買える範囲の密閉容器と乾燥剤でも箱は組めます。穴あけに使う道具をこれから買うなら、3Dプリンターの必須工具で、ほかの作業にも回せる基本セットを解説しています。
印刷素材で変わる保管の優先度|PVA・TPU・PETG・PLA
同じ箱に入れるとしても、急いで守るべき順番があります。
いちばん先はPVAやBVOHなどの水溶性サポート材で、水に溶ける性質そのものが吸湿の速さに直結します。
次がTPUで、AMS liteはTPUとTPEに対応していないと公式に記載されているため、外部スプールから直接送る使い方になります。
給送口を付けたドライボックスと相性がいいのはこのタイプです。
PETGとPLAは比較的扱いやすいものの、吸湿したまま高温のノズルを通せば水分が蒸気になり、破裂音や糸引きの増加として表れることがあります。
A1シリーズはPLA・PETG・TPU・PVAが推奨で、ABSやASAは推奨されていません。
密閉した庫内が必要な印刷素材を検討している場合は、エンクロージャーが必要かどうかの判断で、素材ごとの条件を解説しています。
乾燥させる温度と時間は印刷素材とメーカーで違うので、加熱するときは必ずメーカー推奨値を確認してください。
乾燥剤の交換とドライボックスの点検間隔
交換の間隔を月単位で決めるより、湿度計の数字で動くほうが入れ替えの遅れがなくなります。
50%を超えたら乾燥剤を交換するか追加する、という一点だけ決めておけば足ります。
梅雨どきや洗濯物を室内干しする部屋では、同じ箱でも数字の上がり方が速くなるので、週に一度は読む習慣にしてください。
点検のときは、ふたのパッキンにゴミが挟まっていないか、給送口のチューブがずれていないかもあわせて見ます。
箱の置き場所も数字に影響し、床に直置きすると温度差で結露しやすくなります。
プリンターと箱をまとめてどこに置くかは、3Dプリンターの置き場所の条件で、賃貸での設置も含めて解説しています。
よくある質問
100円ショップの容器でもドライボックスを自作できますか
ふたにパッキンが付いた密閉容器であれば作れます。
選ぶときは内寸を測り、直径200mm前後のスプールが入るかどうかを先に確かめてください。
ふたを押しても浮くタイプは外気が入るので向きません。
乾燥剤は食品用のシリカゲルでも使えますか
吸湿材としては同じ働きをしますが、袋が小さいぶん容量が足りません。
庫内の湿度計が下がらなければ量を増やしてください。
再生して繰り返し使えるかどうかは製品ごとに違うので、表示を確認します。
自作ドライボックスに入れたまま印刷できますか
できます。
側面にグロメットとPTFEチューブで給送口を作り、スプールが抵抗なく回る状態にしておけば、ふたを閉じたまま送れます。
AMS liteやAMS 2 Proを使っている場合は、ユニット側に入れる本数と、箱で保管する在庫を分けて運用します。
湿度は何%を目安にすればいいですか
市販のフィラメント乾燥機の制御が参考になり、SUNLU FilaDryer S4は30〜50%で設定でき、50%を超えると再加熱に入ります。自作の箱でも、50%を上限、40%以下を通常の状態と考えて管理してください。
自作と市販のフィラメント乾燥機は、どちらを先に用意すべきですか
乾いた新品を買ってすぐ保管に入れるなら自作の箱で足ります。
すでに吸湿して印刷が荒れている1本があるなら、加熱できる市販機が必要です。
乾燥させた直後の1本を自作の箱で保つ、という組み合わせが無駄になりません。
まとめ
ドライボックスの自作は、パッキン付き容器・乾燥剤・湿度計の3点で組めます。
内寸は直径200mm前後のスプールが入るサイズを選び、湿度50%を手当ての合図にして乾燥剤を交換してください。
自作の箱が受け持つのは乾いた状態の維持で、吸湿してしまった1本を戻すには45〜85℃といった加熱ができる市販のフィラメント乾燥機が要ります。
PVAやTPUのように吸湿が印刷に直結する印刷素材から優先して箱に入れると、効果が分かりやすくなります。
ぜひ本記事の手順と道具一覧、そして湿度50%の目安を参考に、手持ちのフィラメントから保管環境を整えてみてください。



