3Dプリンターの電気代はいくら?計算方法と節約のコツ
3Dプリンターの電気代は、仕様表の「最大消費電力」ではなく、印刷中に実際に流れ続けるワット数で決まります。
A1 miniの最大は150W、P2Sは最大1000W@110Vという表記ですが、P2Sの公式にはPLA定常時200Wという数字も併記されている。
この「最大」と「定常」の差が、電気代の見積もりを何倍もずらす原因です。
ノズルとベッドのヒーターは、目標温度に達すればオンとオフを繰り返すため、電力は上がったり下がったりしながら推移します。
つまり最大値を印刷時間ぶんかけ算すると、実態からかなり離れた数字になる。
本記事では、W・kWh・単価という3つの単位の関係・機種別の消費電力の読み方・素材と造形サイズで電気代が変わる理由・電気代を下げる設置の工夫を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
3Dプリンターの電気代はW・時間・単価の3つで決まる
電気代の計算式そのものは単純です。
消費電力(W)÷1000×使用時間(h)=消費電力量(kWh)。
これに契約している電力会社の1kWhあたりの単価をかければ、その印刷1回ぶんの電気代が出ます。
単位を混ぜないことが第一の注意点。
仕様表に並ぶ「150W」「350W」「1000W」はすべて瞬間の電力で、時間の情報を含みません。
一方、電気料金の明細に載る数字はkWh、つまり電力に時間をかけた累積量です。
Wの大きさだけを見て「1000Wの機種は電気を食う」と判断すると、実際には短時間で終わる印刷のほうが安いという逆転を見落とします。
単価は「1kWhあたり何円か」を明細で確認する
1kWhあたりの単価は契約プラン・時間帯・地域で変わり、燃料費調整額や再エネ賦課金も乗ります。
自分の単価は検針票やWeb明細の「電力量料金」から逆算するのが確実です。
深夜が安いプランなら、印刷を夜に寄せるだけで同じkWhでも支払いが変わる。
ただし就寝中や完全な留守中に長時間の印刷を任せるのは、火災や造形失敗のリスクがあるためおすすめしません。
在宅で目の届く時間帯に回してください。
機種別の最大消費電力の読み方と、定常値とのずれ
公式仕様に載っている数値を並べると、機種ごとの上限がはっきりします。
ただしこれは上限であって、印刷中ずっとこの値ということではありません。
| 機種 | 公式の消費電力表記 | 構造 |
|---|---|---|
| A1 mini | 最大150W | オープンフレーム・造形180×180×180mm |
| A1 | 1300W@220V/350W@110V | オープンフレーム・造形256×256×256mm |
| P1S | 1000W@220V/350W@110V | 密閉型・造形256×256×256mm |
| P2S | 最大1000W@110V/PLA定常時200W | 密閉型・造形256×256×256mm |
| H2D | 最大1320W@110V | 密閉型・チャンバー加熱最高65℃ |
注目すべきはP2Sの2つの数字です。
最大1000Wに対してPLA定常時200W、つまり実際の印刷中は最大の5分の1程度で推移するという記載になっている。
他機種にこの定常値の公表はありませんが、ヒーターが温度維持のためにオンオフを繰り返す構造は共通なので、最大値がそのまま平均になることはありません。
もうひとつ、A1とP1Sの表記に「@220V」「@110V」という電圧の但し書きが付いている点も見落としやすいところ。
日本の家庭用コンセントは100Vなので、参照すべきは110V側の数字です。
220Vの数値を日本の環境に当てはめると、消費電力を過大に見積もることになります。
電気代が跳ねるのはベッドとチャンバーの加熱
3Dプリンターの中で電力を最も使うのは、モーターではなくヒーターです。
ノズルは小さいので消費は限られますが、ベッドは面積が広く、温度を保つために断続的に電力を入れ続けます。
A1 miniのベッド最高温度は80℃、A1とP1Sは100℃、P2Sは110℃、H2Dは120℃。
この上限の差は、そのままベッドヒーターの容量の差でもあります。
さらに大きいのがチャンバー、つまり庫内の加熱です。
H2Dはアクティブチャンバー加熱で最高65℃まで庫内を温める仕様で、造形空間全体を暖める分の電力が上乗せされる。
密閉型のP1SやP2Sは庫内の熱を逃がしにくい構造なので、ベッドからの熱がこもって温度維持の負担が軽くなる側面もあります。
オープンフレームのA1シリーズは逆に、室温が低いと熱が逃げ続けます。
素材によって温度設定が変わる
PLAはベッド温度が低めで済む素材で、電気代の面では最も軽い。
ABSやASAは高いベッド温度と庫内保温が前提になるため、同じ造形物でも消費電力量は増えます。
ただしA1シリーズはABS・ASA・PC・PAが公式に「推奨ではありません」とされているので、この比較はP1S以上の密閉型機での話です。
素材ごとの温度と設備の関係はエンクロージャーが必要かどうかの判断で解説しています。
造形サイズと設定で消費電力量は数倍変わる
同じ機種でも、電気代は印刷内容で大きく動きます。
効くのは主に印刷時間です。
W数がほぼ一定なら、kWhは時間に比例する。
だから電気代を下げたいときに最初に見るのは、機種でも素材でもなく造形時間の見積もりになります。
時間を左右する要素は、造形物の体積・積層ピッチ・インフィル(内部の充填率)・サポート材の量。
中身を詰めた大きな箱を0.1mm積層で刷れば十数時間かかり、同じ形を0.28mm積層で中空にすれば数時間で終わります。
速度上限はA1系とP1Sが500mm/s、P2Sが600mm/s、H2Dが1000mm/sと差がありますが、実際の印刷が上限速度で流れ続けるわけではないので、カタログの速度差がそのまま電気代の差になるとは考えないほうが安全です。
失敗した印刷の電気代は、全額が無駄になります。
造形が途中で剥がれて数時間ぶんを捨てるのは、電気代の観点でも痛い。
定着不良は原因の切り分けができれば減らせるので、症状から失敗の原因を探す一覧とビルドプレートの種類と使い分けを先に押さえておくと、結果的に電気代も下がります。
フィラメント乾燥機と周辺機器の電力も足して考える
電気代の見積もりで漏れやすいのが、プリンター本体以外です。
フィラメント乾燥機は消費電力が公表されており、SUNLU FilaDryer S4は330W、Creality SpacePi X4は360W(100〜120V)。
どちらも数時間から十数時間の連続運転を前提にした機器なので、印刷と並行して回せば本体と同程度、条件によってはそれ以上のkWhになります。
S4は25℃から50℃までの昇温に約30分、70℃までなら約50分という公称値があり、庫内湿度が50%を超えると自動で再加熱する動作も備えます。
この自動再加熱は便利ですが、電力を使う動作でもある。
SpacePi X4は45〜85℃の温度範囲と1〜48時間のタイマーを持つので、必要な時間だけ動かす設定にすれば無駄が減ります。
乾燥温度と時間は素材とメーカーで異なるため、必ずメーカー推奨値を確認してください。
ほかに、換気用のファンや空気清浄機を併用するなら、その分も加算されます。
においや粒子の対策としての換気は電力を使いますが、削るべきではない部分。
素材別のにおいと対策は3Dプリンターの換気の考え方で解説しています。
電気代を抑える設置と運用の順序
やることには優先順位があります。
効果が大きい順に並べると、まず印刷設定の見直し、次に失敗の削減、最後に機器の使い分けです。
設定では、積層ピッチとインフィルの2つを触るのが効率的。
試作や治具の当たり確認なら0.2〜0.28mmの厚い積層とインフィル10〜15%で足り、印刷時間は目に見えて縮みます。
0.2mmノズルの細かい造形は美しい代わりに時間がかかるため、電気代を意識するなら付属の0.4mmか、太めの0.6mm・0.8mmを常用する判断もあります。
まとめ印刷も効きます。
ベッドとノズルの昇温には毎回一定の電力がかかるので、小物を10個作るなら1回のジョブに並べたほうが昇温の回数は1回で済む。
ただし1つ失敗すると全体に波及するリスクは上がるため、定着が安定してから試すのが順序です。
設置環境では、室温の影響を軽く見ないこと。
冬の寒い部屋でオープンフレーム機を動かすと、ベッドの熱が逃げ続けて温度維持の電力が増え、反りの失敗も増えます。
エアコンで部屋を暖めるほうが高くつく場合もあるので、置き場所自体を室温の安定した部屋に移すのが現実的な対策。
設置台の条件は揺れない設置台の選び方で解説しています。
消費電力はどこに書いてあるか
確認場所は3つあります。
1つ目は本体の銘板やACアダプターのラベルで、定格入力として「100-240V」「◯A」または「◯W」の形で記載されています。
2つ目はメーカー公式サイトの技術仕様ページ。
Bambu Labの各機種は仕様ページに最大消費電力が載っており、機種によっては定常値も併記されています。
3つ目は取扱説明書の仕様欄です。
販売店の商品ページの数値は、公式仕様の転記であることが多いものの、電圧の但し書きが省かれている場合があります。
「1300W」だけを見て驚く前に、それが220V時の値なのかを公式で照合してください。
並行輸入品の場合はPSE認証の有無も別問題で、ACアダプター側と本体側で認証が分かれている製品もあります。
機種ごとの仕様の並びはBambu Lab全機種の違いの比較で解説しています。
よくある質問
3Dプリンターは1回の印刷でどれくらい電気代がかかりますか
機種・素材・造形時間で変わるため一律には出せませんが、計算式は共通です。
印刷中の平均消費電力(W)÷1000×時間(h)×自分の電力単価。
P2SのようにPLA定常時200Wという公表値がある機種なら、その値を平均の目安として計算すると実態に近づきます。
最大消費電力で計算すると、実際より大きく出ます。
つけっぱなしにしても電気代はかかりますか
印刷していない待機状態でも、電源が入っていれば制御基板や表示パネルの分の電力は消費されます。
ただしヒーターが動いていないので、印刷中と比べれば小さい。
電気代よりも、長時間の無人稼働を避けるという安全面の理由で、使わないときは電源を切る運用をおすすめします。
電気代を気にするならA1 miniのような小型機を選ぶべきですか
電気代だけで見ればA1 miniの最大150Wは有利です。
ただし造形サイズが180×180×180mmなので、それを超える物は分割して接着する手間が発生し、印刷を複数回に分ければ結局そのぶんの電力を使います。
作りたい物の実寸から機種を決めるのが先で、電気代は判断材料の1つとして後ろに置くのが妥当です。
分割前提で考えるなら、素材別の接着剤の相性も合わせて確認しておくといいでしょう。
まとめ
電気代の見積もりで間違えるのは、たいてい最大消費電力をそのまま平均として使ったときです。
仕様表の数値は上限であり、P2Sの「最大1000W/PLA定常時200W」という併記が示すように、実際の印刷中はもっと低いところで推移します。
電圧の但し書きも確認して、日本の環境なら110V側の数字を読んでください。
そして支払額を実際に動かすのは、W数よりも印刷時間と失敗の回数です。
積層ピッチとインフィルを用途に合わせて緩め、定着を安定させて刷り直しを減らす。
乾燥機の稼働時間も足して考える。
ぜひ本記事の機種別の消費電力表と計算式を参考に、自分の使い方でいくらになるかを一度出してみてください。



