Tinkercadから3Dプリンターへ出力する手順|STL書き出し
Tinkercadで穴を開けたはずなのに、書き出したデータでは塞がっている。原因のほとんどは、Hole(穴)に設定した立体と、削られる側の立体をグループ化していないことです。
TinkercadはAutodeskが提供する無償のブラウザ型3Dデザインツールで、公式トップには1億人以上のユーザーと8億個超のデザインという数字が載っています。
ダウンロードは不要ですが、3Dプリンターに送るにはSTL形式で書き出してスライサーに読み込む工程が別に要ります。
本記事では、印刷までの手順・グループ化や壁の厚みでつまずく箇所・PLAとPETGとTPUで変わる寸法の取り方を解説します。

おうち3Dプリンター編集部
おうち3Dプリンター編集部です。家庭用3Dプリンターを「家電のように迷わず選べる」状態にすることを目指して、機種の比較、フィラメントの選び方と保管、設置環境づくり、印刷トラブルの対処を解説しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
Tinkercadで作った形を3Dプリンターで印刷するまでの手順
画面右側に並ぶ基本図形をドラッグして作業平面に置くところから始まります。箱や円柱を置いたら、次の順で進めてください。
- 外形になる図形を置く(細かい部分は後から足し引きできるので、いちばん大きい形から置きます)
- 寸法を数値で指定する(印刷物は実寸が合っていないと使えないため、見た目で合わせません)
- 穴になる部分の図形をHoleに切り替える(Tinkercadは引き算を専用の属性で表現します)
- 削る側と削られる側をまとめて選び、グループ化する(グループ化した瞬間に引き算が実行されます)
- Exportから.STLで書き出す(スライサーが読み込めるのはこの形式です)
- スライサーでフィラメントとプレートを選び、印刷データに変換する(温度・層の厚み・サポートはTinkercadでは決められません)
寸法はドラッグではなく数値で入れる
立体を選ぶと角と辺に白いハンドルが出て、ドラッグでも大きさを変えられます。
ただしドラッグはグリッドに吸着するので、きれいな数字に見えて実際は半端な値ということが起こります。
ハンドルをクリックして数値を直接打ち込み、作業平面の単位がミリメートルになっているかも確認してください。
インチ設定のまま進めると、25.4倍ずれた形が書き出されます。
グループ化を忘れたまま書き出すと起きること
Holeに設定した立体はSTLに書き出されません。
グループ化していなければ引き算が実行されないまま穴の図形だけが消え、中身の詰まった塊が印刷されます。
インフィル(内部の充填)の設定どおりに材料と時間を使い切ってから気づくことになるので、損失がいちばん大きい失敗です。
逆に、削るつもりの図形をHoleに切り替えずグループ化すると、2つの立体が一体の形としてくっつきます。
どちらの場合も画面上の見た目だけでは判別しにくいので、書き出し後にスライサーで読み込み、断面プレビューで内部に空洞ができているかを確かめてください。
寸法の取り違えも同じ場所で見つかります。
嵌め合いの相手がある部品なら、スライサーに表示される幅・奥行き・高さの数値を実測値と突き合わせておくと、印刷してから入らないという失敗を減らせます。
Tinkercadでよくある失敗と直し方
立体が宙に浮いたまま書き出されている
Tinkercadでは高さ方向のハンドルで立体を浮かせられるため、作業中に持ち上げたまま忘れることがあります。
浮いた状態のSTLは、スライサーの自動配置設定しだいでプレートまで落とされたり、そのまま空中から印刷を始めてサポート材だらけになったりします。
整列(Align)で下端を揃えるか、高さの数値に0を打ち込んで直してください。
壁が薄すぎて印刷されない
家庭用の標準ノズルは0.4mmで、Bambu Lab A1 miniやA1も0.4mmのステンレスノズルが付属します。
壁の厚みが0.4mmを下回ると線1本にも満たず、スライサーの段階で消えるか、すき間だらけの面になります。
目安として壁は0.8mm以上、手で力をかける部品なら1.2mm以上を確保してください。
表面に文字やロゴを浮き彫りにするときも、線の幅が0.4mmを切ると形がつぶれます。
作業平面に収まっているのに造形サイズを超える
Tinkercadのグリッドの広さと、プリンターの造形範囲は無関係です。
A1 miniは180×180×180mm、A1は256×256×256mmなので、グリッドの中に置けていても入らない大きさはあります。
分割して接着する前提なら、分割面に位置合わせ用の突起と穴を作っておくと組み立てが楽になります。
要るのはブラウザとスライサーだけ、マウスは代用が利く
Tinkercadはダウンロード不要のWebアプリなので、用意するのはAutodeskアカウントとブラウザだけです。
ホイール付きマウスがあればホイールで拡大縮小、右ドラッグで視点回転ができます。
トラックパッドでも操作はできますが、視点を回すたびにキーの併用が増えます。
別に要るのがスライサーです。
UltiMaker Curaは無償で配布されていて、推奨プロファイルから入って400を超える設定項目まで触れます。
OrcaSlicerはAGPL-3.0のオープンソースで、Bambu LabやPrusa、Creality各機に対応し、温度タワーなどのキャリブレーション機能を持っています。
ただしOrcaSlicerは公式を装う偽サイトがあると開発元が警告しているので、検索結果の広告枠からではなく公式のリポジトリやサイトから入手してください。
初期設定でつまずきやすい項目はCuraの使い方と初期設定で解説しています。
PLA・PETG・TPUで変わる、Tinkercad側の寸法の取り方
A1シリーズの公式推奨フィラメントはPLA・PETG・TPU・PVAで、ABS・ASA・PC・PAは推奨ではありません。
オープンフレームで庫内の温度を保てないためです。
つまり、Tinkercadで耐熱の必要な部品を設計しても、A1系ではPETGが上限と考えて寸法を決めることになります。
PLAは収縮が小さく、入力した数値に近い寸法で出ます。
PETGは粘りがあってノズルから出た樹脂が広がりやすいので、軸と穴のような嵌め合いは隙間を0.3mm前後から試し、きつければ穴側を広げてください。
TPUは柔らかく、細いピンや薄いリブは印刷中にたわんで形が崩れるため、設計の段階で太めにしておく必要があります。
多色で作りたい場合も注意が要ります。
A1シリーズ向けのAMS lite(4巻のフィラメント自動切替ユニット)はTPUに対応していないので、柔らかい部品の色分けはユニットでは行えません。
Tinkercadで作りにくい形と、次に移るモデリングソフト
Tinkercadは図形の足し算と引き算で形を作る仕組みなので、角を丸めるフィレットや、なめらかにつながる曲面は不得意です。
後から「この穴だけ2mm大きく」と寸法を変更する作業も、図形を選び直して打ち直すことになります。
機械部品のように寸法を何度も見直す設計なら、Autodesk Fusionの個人用ライセンスが候補です。
非商用かつ年間収入1,000米ドル未満の個人に限るなど条件が細かいので、Fusion 360の個人利用の条件と制限で解説しています。
キャラクターや有機的な形を作りたいなら、方向性が違うのはBlenderです。
印刷用に書き出すときの設定はBlenderで3Dプリント用データを作る手順で解説しています。
既製品に近い形が欲しいだけなら、自分で作らずに配布データを探すほうが早い場面もあります。
探し方は3Dプリンターの無料データサイトまとめで解説しています。
よくある質問
Tinkercadのデータはそのまま3Dプリンターに送れますか
送れません。
TinkercadはSTLなどの3D形状を書き出すところまでで、どの温度で何mmずつ積むかを決めるのはスライサーの役割です。
Export(書き出し)でSTLを保存し、スライサーで読み込んでから印刷データに変換してください。
壁の厚みは何mm以上にすればいいですか
0.4mmノズルなら0.8mm以上が目安で、手で力をかける部品は1.2mm以上を確保してください。0.4mmを下回る壁は、スライサーの段階で線が引けず消えることがあります。
書き出したSTLがスライサーで小さすぎる形で開きます
作業平面の単位がインチのままになっている可能性があります。
ミリメートルで設計したつもりの数値がインチとして解釈されると、スライサー側では1/25.4の大きさで表示されます。
Tinkercadの編集グリッド設定を見直してから書き出し直してください。
子どもと一緒に使っても問題ありませんか
Tinkercadは広告が表示されず、kidSAFE(COPPAに対応した子ども向けサービスの認定)を取得していて、公式も教育での利用を前面に出しています。
クラス単位で管理する機能もあります。
年齢ごとの始め方はTinkercadは子どもでも使えるかで解説しています。
まとめ
Tinkercadから3Dプリンターまでの工程でつまずくのは、たいてい形の作り込みではなくグループ化・単位・壁の厚みという3か所です。
どれも書き出し後にスライサーで読み込み、寸法と断面を見れば印刷前に気づけます。
素材側はA1シリーズならPLA・PETG・TPUの範囲で考え、嵌め合いの隙間や細い部分の太さを素材に合わせて決めてください。
ぜひ本記事の手順と失敗例を参考に、最初の1個を実寸の合った形で刷り上げてください。



